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2018年 08月 11日

【tm125EN】灰色の空に希望を(考察編)

先日の遭難事件の記事のコメントにて、とても有意義なご質問を頂きました。
ちょうど私もその件について考えをまとめていた所でしたので、今回それを記事にしてみることにしました。


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遭難した時、手足が痺れて硬直したという体験が言い知れぬ恐怖と絶望感を生みました。結果的に無事帰ってくることが出来たから良かったものの、一歩間違えれば最悪命を落としかねない状況だったとも言えます。
まぁ、真似する人はいないと思いますが、同じ過ちを繰り返さない為にも、当時の私に起こった現象を可能な限り思い起こし、考察していきます。

まず、ご質問の内容ですが、

=============

a 当日の気温や日射の状況(アメダス記録などで参照可能です)
b 当日の体調
c 体調を悪化させた最大の要因は、どの辺りでしょうか?かなりの発汗があったのではと推測しています。
d 脱水症のように見えますが、実際の所どうでしょうか
e 今回の伝説から得た、注意点やアドバイスなど



=============

この様な内容でした。
文章をまとめるに当たって非常に的を得ており、考察の道筋として大変参考になるご質問でした。


a)

まず当時の気温ですが、現場の正確な気温は調べられなかったのですが、体感的には20℃+α程度で、天気は曇り、やや霧雨でした。やや湿度の高い状態ではありましたが、一般的に考えて、スポーツに適した天候だったとが言えます。
b)
夜の仕事がAM3時に終わり、そのまま準備をして山に出かけ、AM6時から走り始めたので、遭難したAM11頃はすでにフラフラの状態だったと言えます。ただし、今回に限らず10数年来いつもその様な状態で日曜日を遊んでいるので、「いつも通りの体調」と言えば、その通りです。
c,d)
当初、熱中症か脱水症を発症したのだと考えていました。運動して汗をかいて水分補給が出来ていなかったのですから。しかし帰宅後、それらの初期症状の項目を見てみると、どれも私の状態に当てはまらなかったのです。
そこである仮説を立てました。当時、かなり長い時間ゼェゼェハァハァやってました。その直後に手足の痺れ及び硬直、めまい、視界の混濁といった症状が出ましたので、もしかすると『過呼吸』が直接の原因ではないかと考えたのです。
試しに深呼吸を連続的に行うと、20秒程でめまいや手足に痺れが出てきますが、それがまさにあの時の私の症状とそっくりと言えるのです。(20秒程度ではまだ初期段階で、当時はおそらく1分以上、2〜3分は過呼吸状態が続いていました)
では、なぜそのような過呼吸の状態に陥ってしまったかといいますと、以下の要因が考えられます。

1)行き止まり、及びバイクの走行不能状態によって、精神的不安、ストレスが生じた。
2)バイクを動かす為に激しく動き、体温の上昇、発汗、体力の低下。
3)通気性の悪いインナーウェアーによって、発汗による体温の発散が効率的に行われなかった。
4)この段階で飲み物を飲み干してしまったことによる切迫感。

ただ、非常に疲れる、体力を異常に消費する、といっただけでは過去の経験から過呼吸にはなりません。
おそらく、『精神的不安』というのが、引き金になっているのだと思います。(1)と(4)の部分です。当時の私は認めたがらないと思いますが、おそらく軽いパニック状態に陥っていたのかもしれません。
もちろん、ちょっと不安を感じただけで過呼吸になってしまうほどメンタルの弱い人間ではありません。山で道に迷ったり、バイクがスタックすることなど数え切れない程経験してます。しかし寝不足に始まり、体力の低下といった幾多の要因が重なったことで、過呼吸状態に陥ってしまったのではないかと考えられるのです。
そして、問題なのはインナープロテクター。
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BeCooLというエアーコントロール素材が採用されてはいるようですが、パンチングメッシュのように、完全に筒抜け状態の生地ではないので、激しい運動に伴う発汗や体温の上昇には追従できません。私は焼き物の仕事をしており、サウナにも長時間入っていられるほど暑さへの耐性はかなり高い体質ですが、このプロテクターは発汗による効果的な放熱が阻害されます。先日の山登りの時も、「あれ?この程度の運動量で?」と思うほど体力の低下が激しかったですから、放熱性が低いと考えられますね。
とはいえ、先日の大転倒や崖転落の際に体を保護してくれた性能は最大限に評価できるので、一長一短と言えるでしょう。


e)
同じ過ちを繰り返さない為に取るべき対策としては、「無茶をしない」の一言につきます(笑)
しかし、その『無茶』をどうしてもやりたくなってしまうので、それであれば(1)〜(4)の原因を最大限取り除くことを意識するのが重要だと思います。
まずはやはり飲み水の確保。「ちょっと多いかな?」という量を持っていくことが重要。当時も、あの時点でちゃんと飲み物さえ飲めていれば、心は落ち着いて呼吸も整ったのではないかと思います。午前中の時点で2リットルを摂取していたのですから、体内水分量が足りなくなるレベルでは無いはずなのです。それよりも、「水が喉を通る」という行為に意味があって、特にあの時のような切迫した状況では赤ちゃんのおしゃぶりの様に重要な行為だったと言えるのかもしれません。
次に、マシンを力ずくで動かす時は、せめて上のプロテクターだけは脱ぐようにする。当時はインナープロテクターの上にジャージとエンデューロジャケットも着用していたので、20°Cの気温で作業するにはやはり着すぎでしたね。「暑さには強い」という慢心もあったと思います。そして、もうそんなに若くも無い・・・(涙)
あとは、万が一過呼吸になった場合の対策として、意識的に呼吸を少なくする、吸うより吐くを多くするなどといった対処ができることを今回学びました。ヘルメットを被って意図的に換気を悪くするのも手かと思います。(ただし、ビニール袋などを頭から被ってしまう行為は、逆に2酸化炭素が多くなりすぎて危険なので、あくまで「意識的に」調節するのが大事なのだそう)

「冒険」とは言っても、それはあくまで「ごっこ」であるべきで、本当に身を挺してやることではありません。安全確実な行動を取る為には、
『常に冷静に、論理的に』
というのが、もっとも重要なことだと思います。


by tm144en | 2018-08-11 04:15 | tm125EN | Comments(2)
2018年 08月 09日

【tm125EN】完全燃焼ツーリング(その3)

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さて、このムッチリゴーグルですが、やはりムッチリしすぎてフィット感がイマイチでした。
両サイドのアタリが多すぎるので、少し削ってみることにします。

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いや、手でちぎったわけじゃないっスよ笑
ちゃんとカッターで削ったんですが・・・・

でも、まぁ、さっきまでよりは大分マシになったんで、後半戦はこれでいきます。

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そうそう、実はフォークの突き出しを一段増やしてました。私の基本的な考え方としては、コーナリング性能落としてでも直進安定性を高めたい、というものなのですが、いくらなんでも倒し込みがちょっと重いような感じがするので、一段だけ変えてみることにしました。

で、結果は・・・

直進でコケました(爆死)

例のハイパーワダチルートをイケイケで突っ込んでいったら、一瞬の判断ミスで吹っ飛びました。ええ。そりゃもう豪快に。

いや、それマシンのせいじゃなくねー?
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というわけで、後半戦突入〜〜。
まず一発目はココ。通常の林道からの脇道なんですが、下って上ってを一望していて、いつも気になっていたルート。
以前この道に鹿が逃げていって、反対側の丘からコッチを眺めていたことがあり、「こっちへおいでー」と誘っていたように見えたので今回ちょっと行ってみることにしました。

上ったあと林を抜けるとそこに広がっていたのは、

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絶景 of ZEKKEI

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あまりのZEKKEIにしばしぼんやりしていると、遠くから4Tサウンドが聞こえてきました。おそらく一台。
アクセルの開けっぷりから、おそらく外車レーサー使いと推察。

当然そういうこともあって然るべきなのですが、こうやって改めて遠くにその存在を確認すると、急に出会い頭の衝突が怖くなってきますね。なんせ経験者ですから、正面衝突の・・・


ーーーーさて、それはそうと、まずはここから先。
実はここから先は鬼の様な下り坂がずっと続いていたので、一旦マシンを置いて歩いて確認することにしました。このままマシンごと降りてって、先が抜けれなかったら一人じゃ絶対に登れないですからね。安全第一です。

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鉄塔の見えてた位置からはかなり急な下り坂でしたが、この辺りでやや緩やかになってきました。

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それでもなかなかの下り坂で、ゼロ加速で登るのは結構難しそうな感じです。

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そして幸運なことに、下った先は通常の林道と繋がっていましたね☆こりゃイイね!!

というわけで早速マシンの所まで戻っ・・・・・

シ・ン・ド・イ

THE VERY SHINDOI!!

とんでもない下り坂をかなりの距離下ってしまったので、マシンの所まで鬼登山ですよ鬼登山・・・

とはいえ、かなり痛快なルートを発見したので意気揚々と上っていったのですが、マシンについた所ではもうゼイゼイハァハァ・・・

あれ・・・これって・・・先々週の・・・アレ?

いや、まぁ、今回はドリンクはたっぷりあるんで大丈夫でしたけど。
これあれだなぁ。インナープロテクターが原因じゃないかなぁ〜。走って風当たる時はそんなに気になりませんでしたが、降りてバイク押したりして体動かしたらてきめんに体温が上ってしまいますね。

生地自体の通気性がメッシュ程ではないので、真夏にはちょっと向いてなさそうですね。
まぁ、バイクから降りなければ問題無いんですけどね・・・

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さて、そんなこんなで楽しい時間はあっという間に過ぎ、後半戦を終了させました。

本日の走行距離はなんと150km!!
tmで1日でこんなに走ったのは初めてですね!!

前半戦終わった時点では、まだまだ走れる、走りたい気持ちでイッパイでしたが、後半戦の最後20km位はもう意識朦朧として走ってましたね(笑)
道のど真ん中に横たわる大きな枝も避けられない程集中力が切れちゃって、帰ってくるのがやっとでした。

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やっぱ・・・ちょっと・・・オイルが濃すぎでは?
混合比は推奨の32:1ですが、私の開けっぷりだったら35以上でも問題ないかもしれませんね。
まぁ、だからと言ってプラグがカブるというわけでもないので、焼け付きのリスクが少しでも上がるんなら、このままでも良いかなとも思いますが。
とりあえず、33か34位にしてみようか?

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比類なきマシンから得られる最高峰の感動と悦楽。

しかしそれは、マシンを本当に理解して初めて得られる。

「知れば知るほど」という言葉通り、tmというマシンの持つポテンシャルは計り知れない。

『楽しい!』

その一言を、心から叫ぶ為に・・・


by tm144en | 2018-08-09 03:28 | tm125EN | Comments(4)
2018年 08月 08日

【tm125EN】完全燃焼ツーリング(その2)

性懲りも無くというのはまさにこのことで、先々週の遭難事件で迷ったルートを再度探索してみることにしました。

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左側の道から降りてきて、そのまま回り込むように右側に続いているのですが、

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先々週は回り込まずまっすぐ抜けるこちらの道に進んだのでした。
しかし、その先は笹薮で覆われてとても通り抜けられるような状況ではなかったので、こっちは不正解で、回りこむ方が正解だったと言えるのかもしれません。

ですが、それだとちょっとおかしいのです。


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赤のルートから来て、青のルートに抜けたいのですが、遭難した時の座標はその道よりも南側に位置してました。

すなわち、先ほどの回りこむ道の方向に進むと、遭難ポイントよりもさらに南側(南東)に進んでしまうことになるのです。

とはいえ、それ以外にめぼしい分岐点も無いので、試しに進んでみることにしました。

そうすると・・・

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またここに来ました(笑)

もうええわ!

ーーーーというわけで、そろそろ一旦スタート地点に戻ることにしたのですが・・・

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道に迷いました(爆)
来た道を戻るだけだったので、地図を確認しないでいたのですが、どうも全然雰囲気の違う場所にきてました。

しかも、

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そろそろヤバみ(冷汗)
おそらく・・・90kmが限界だと思うので、ここからは最短ルートで走らないといちいち間違えている場合ではありません。
しっかり地図を確認して・・・・・て、

あ〜〜〜〜〜〜〜!!!

現在地が、地図からはみ出してるwwwww

ここはドコ?わたしはダーレ??

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

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まぁ、なんとか野生の勘をフル動員させて無事スタート地点に戻ってこれましたけどね☆
途中の分岐を一箇所間違えてただけでした(笑)
いや〜、山道を走りながら一瞬で覚えるのはなかなか難しですよ。止まって休憩した場所とかは結構覚えてるもんなので、重要な分岐点とかでは一旦マシンを止めて休憩するのが良いかもしれませんね!

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距離は93kmになってましたが、

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まだリザーブに入ってないので、100kmは走れそうな感じですね。やはり、144よりは排気量分燃費が良いということなのでしょうか。

さてさて、いつもだったら1タンクで終了なのですが、

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まだまだいくよー!!
8時にスタートして、現在11時。90kmを3時間程かけて走ってたわけですが、なんかまだ物足りない。
いつもだったら満腹になってるはずなんですが、なんだろう、なんかこの125と相性が良いのか、いつまでも走っていたい気持ちになるんですよねー・・・
144の時は1タンクで絶対お腹イッパイになってたのに、不思議だなぁ〜

ベスト オブ エンデューロマシン

それがtm125ENなのです。

まだ続く〜


by tm144en | 2018-08-08 04:34 | tm125EN | Comments(0)
2018年 08月 07日

【tm125EN】完全燃焼ツーリング

真っ白な灰になったはずなのに、1日経っただけでもうまた走りたくなってる笑
ビョーキか!

オフ車覚えたての頃というか、若かりし頃ならそういう時期もありましたけど、30過ぎた位から落ち着いてきてたはずなんですけどねー。そもそも、このブログ始めたキッカケがバイク熱が下火になってきた、という理由もあったくらいですから・・・

林道探索というシンプルな遊び方ですが、実はそこに『エンデューロ』の本質があると思うのです。
見ず知らずの山道を、地図と五感を頼りに可能な限り速い速度で走る。そしてなにより、

「絶対に無事に帰還すること」

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遊びだけどアソビじゃない。オトナの本気の『ASO-BI』

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今日も暑すぎない程よい天気に恵まれました。
本当は、林道走るのは春とか秋とかの方が涼しくて良いのですが、ツイてますね☆

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今日も今日とて、準備万端。SAMURAIとロープに加え、さらに小型のナイフも搭載。前回の教訓から、笹などを払う用に使用します。

とはいえ、今日の予定は開拓の方はあんまり力を入れず、距離を稼ぐ方に重きを置くつもりです。いや、別にビビってるわけじゃねーしっ!!ちげぇーしっ!!たまたまそういうつもりじゃねぇだけだし!!

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ということで走行開始。
とりあえず最初は、地図を見ないで勘だけで走ることにしました。知ってる道も知らない脇道も、とりあえず適当に走り続けます。

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画像は大したことなく見えますが、かなり深い轍が連なっている、すごく楽しいルートを発見しました。連日の晴れで土が固くしまっているので楽しさ半減でしたが、これ雨上がりとかだと超絶悶絶ルートになると思うので、次走る時に期待ですね♪

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途中、地図で確認しながら走って、湖を眺める所まできました。
基本的に鬱蒼とした山道ばかり走っていますから、こういう拓けた光景に心が安らぎますね。走ること自体は楽しいですけど、こういったエッセンスがあるか無いかで、その日の楽しさには違いがでますね。

続く〜


by tm144en | 2018-08-07 03:43 | tm125EN | Comments(0)
2018年 08月 05日

【tm125EN】完全燃焼

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燃え尽きた……

真っ白な灰に……

燃えカスなんか残りゃしねぇ……


by tm144en | 2018-08-05 15:11 | tm125EN | Comments(2)
2018年 07月 29日

【tm125EN】灰色の空に希望を(最終話)

さぁ!向かえに行くよ!!

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エネルギーを補給し終えた所で、早速次の行動に移る。愛機を向かえに行く為に。

時刻は15時。日没まではあと4時間ある。計算通りに行けば余裕があるが、何が起こるかわからない以上行動は早めに起こす必要がある。
実は、素っ裸でひっくり返っている時にここまでの行動を全て想定していた。あの時あの状態でマシンを動かすことは不可能だったが、エネルギーさえ補給すれば一人でもなんとか脱出できるはず。だったら、ということで一旦自分だけ下山したのだ。

これこそ真の『急がば回れ』である。

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車は、遭難場所から最寄りのゲートから入り、途中から歩いてきた場所を辿ることにした。
ちなみに、このゲート付近で釣りをしている人がいたので、あの時もしこちら側に来ていたとしても何とかなったと考えられる。
しかし、自分の不始末で赤の他人に助けを借りるなんてことはプライドが許さない。意識ある限り、自分の足で立ち上がり、自分の手で未来を掴みたい。

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先ほどのコンビニではエネルギーの補給だけに徹し、休憩という休憩は取らなかった。救出作戦の行動をなるべく早く起こしたかったからだ。
その代わり、林道を車でノロノロ運転することで、十分休息になっている。

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このあたりから徐々に険しくなってくる。
油断は禁物。ミイラ取りがミイラになっては話にならない。細心の注意をはらいながら車を進めた。

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先ほど歩いていた時に車が走れるかどうかを考えていたが、一番危ない箇所がこの地割れしている場所。もしここでタイヤを落としてしまったら、自力での脱出は不可能になってしまうだろう。再度徒歩で山を下り、今度はロードサービスを呼ぶハメになる。

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これ以上は進めないので、残り1kmは歩くことに。

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ブーツを長靴に変更しかなり身軽になったので、先ほどまでとはうってかわって軽快な私がそこにいた。
tm姫救出に向け、俄然テンションが上がる。

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冷静に考えれば、この先に進もうとすることがいかに危険か判りそうなものだが、『何か』にとらわれている状態の時はそれが見えなくなってしまう。
冷静であるように見えて、実は冷静さを失っていることがままあるのだ。
その『何か』の正体とは『好奇心』。「これを進めばどこかに抜けられそうだ」という好奇心は、時に冷静さを凌駕し我々を危険な場所へと誘う悪魔のような存在となる。


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20分程歩き、その姿が見えてきた。
さっきまで、ほんの4時間程前に山の中でもがき苦しんでいたというのは夢だったんじゃないのか?という気分だったが、遠くに見えたマシンの姿がそれが現実だったことを静かに物語っていた。

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まるで時間が止まっているかのようなこの場所を目の当たりにして、もしかして車を取りにいったことが夢だったんじゃないかと一瞬焦ったが、履いている長靴がそれが現実だったことを静かに物語っていた。

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また戻ってきた感慨にふける間も無く、まずは、持ってきたアクエリアス2リットルをキャメルバックに詰め替えた。さすがに2リットルは多いとは思うが、あの経験から飲み物は余すくらいあって丁度良いことを学んでいる。


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さぁ、最後の戦い。この鬱蒼とした笹薮から抜け出す。

進行方向に軽く登りになっていて、足元には丸太が点在。土質は湿って柔らかく、笹が進路を妨害する。まさに4重苦。
荷物は一旦そのままに、まずは身軽な格好のままマシンだけを上げることにした。

エンジンはこんな時でも一発で始動。どんな過酷な状況に置かれても、その揺るぎない信頼感は絶大だ。たった一人でこんな山奥にいて、心細くて崩れ落ちそうな状態にあっても、tmは私の心をしっかりと支えてくれていた。だからこそ、一度山から出てもまたすぐに救出に向かったし、一人でも大丈夫だと思えたのだ。
真のエンデューロマシンとは、こういった究極の状況でその真価が問われる。

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最悪の状態は脱した。
体力もそこそこに回復し、長靴で身軽になった状態ですら、マシンを押して上がるのは至難の技だった。

マシンを平坦な位置に停め、荷物を取りに戻る。
4時間前の汗が染み込んだままのプロテクター類をまた身にまとったが、その時とは顔つきが大分違っている。
灰色の空に見た希望の未来が、今そこにあった。諦めなかった現実が、今ここに。

残すはあと1km。まだ危険は多く残っている。ここで油断してはいけない。全集中力をマシン操作に注いだ・・・

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やっと・・・・やっとここまできた・・・・
もう少し。あと少しだ!

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マシンをしっかり固定し、準備は整った。
まだ終わりじゃない。最後の最後まで気を抜いてはいけない。この帰り道で、誤って崖に転落・・・などということになったら、なにもかも終わりになってしまう。

まだ、終わりじゃない!

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心なしかサンバー丸がたくましく見えた。こんな山奥まで来て、疲れ切った私とマシンを載せ着実に前へ進むその姿は、さながら航空母艦のようだった。
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日の入りまではまだ2時間もある。ゆっくり、ゆっくりでいいから、確実に。

そして・・・


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私たちの戦いは、終わった。


by tm144en | 2018-07-29 06:49 | tm125EN | Comments(7)
2018年 07月 28日

【tm125EN】灰色の空に希望を(第5話)

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プロテクターや荷物を置いてきて身軽になったとはいえ、片側2.6kgのオフロードブーツの『足かせ』は、私の体力を着実に削っていった。
しかし、ゆっくり歩く有酸素運動は体への負担が殆ど無いということを身をもって体感した。『疲労』は、気合いでなんとかなる。だが、先ほどのような、無酸素運動によって発生した乳酸は体にとってかなり危険なのだ。

曇り空の元、程よい気温は私に味方し、さながらハイキング気分だった。到底さっきまで瀕死の状態だった男が遭難さながらに林道を彷徨っているようには見えないだろう。

ただ、依然として脱水状態は続いている。唾液は殆ど出てこず、出たとしても白い泡のようなもので、ペッと吐き出すとフワフワと舞い落ちる。
唾液がこんな状態になったのも初めての体験だ。

=======


『急がば回れ』

これは、本当に大事な言葉だ。特に、瀕死の状態ならなおさら。

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地図を見ると、現在地から無駄に遠回りするルートになっていたので、矢印の方向にショートカットすることにした。
道は無く、笹薮を漕ぎ、川を渡らねばならないが、600m程短縮できる。消え入りそうな体力の私には、魅力的だった。

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そうして私は、この見るからに鬱蒼とした林の中に歩みを進めたのだった。
膝ほどの深さの川に飛び込み、ゆっくりと歩く。川の水は冷たく、歩き疲れた足を優しく包んだ。思わず飲みたい衝動に駆られたが、それだけは我慢した。

そして、少し歩いて、己の判断の愚かさを悔いた。
川を歩く事が、こんなにも体力を消耗することを・・・・そして、川から出ると今度は水浸しになったブーツが、さっきの倍の重さになってしまうことを・・・
もはや、両足に10キロの『足かせ』をつけているかのような状態だ。しかも、笹薮で非常に歩きにくく、足を必要以上に高く上げなければ歩みを進める事ができず、しかも、丸太や足に絡まる枝、柔らかい砂地と、健康な状態でも難儀するような場所だった。

そして『それ』は、再び私を襲った。急に目の前が緑色に染まり、手足が震えだしたのだ。

マズい!ヤバい!

しばらくその場で休み、大事には至らなかった。先ほどまで順調に歩いてきたことで勘違いしてしまったようだが、自分の体力はやはり限界ギリギリの状態にあることを再確認したのであった。

しかも、ショートカットの先は100m程の崖になっており、それを登った先が目当ての林道になっているようなので、ショートカットはハナから無理だったことに落胆した。

結局また元の場所まで戻り、ただ無駄に時間と体力を削ったばかりか、ブーツの重さを倍にするというペナルティーまで科せられてしまった。

『急がば回れ』

この言葉が、私の胸にしっかりと刻まれた・・・・

=========

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11時40分頃から歩き始め、2時間程が経過した。もう少しで車のある場所まで到着しそうだった。
あと少しと自分を鼓舞する。
少しでもモチベーションを上げる為、到着したらまず真っ先にコンビニに行き、何を飲もうか呪文のように唱えながら歩いていた。

エナジードリンク・・・ウィダーインゼリー・・・キレートレモン・・・蕎麦・・・エナジードリンク・・・ウィダーインゼリー・・・キレートレモン・・・蕎麦・・・エナジードリンク・・・ウィダーインゼリー・・・キレートレモン・・・蕎麦・・・エナジードリンク・・・ウィダーインゼリー・・・キレートレモン・・・蕎麦・・・

そして・・・

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着いた〜〜〜〜〜!!!!

あああああああ。諦めなかった!頑張った!

よし、感動はそこそこにして、とりあえず先に、

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オアシス!

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ああああああ!

あああああああ!!

多分、胃腸が弱っているだろうからゆっくり摂取しなければいけない・・・とは思いつつも、もはや今の私を大脳ごときで制御することは不可能だった・・・

・・・

・・・

・・・







by tm144en | 2018-07-28 07:11 | tm125EN | Comments(0)
2018年 07月 27日

【tm125EN】灰色の空に希望を(第4話)

依然として手も足も動かない状況で、私は空を眺めていた。

灰色の空は、灼熱の太陽から私を守ってくれていた。

霧で濡れた笹薮は、火照った体を冷やしてくれた。


諦めなければ、未来はまだ続くかもしれない・・・


手と足が動かせなくても、体全体を使って体勢を変えることはできた。

とりあえず、頭が低い位置にあるのは問題なので、なんとか体育座りの体勢になって体調が回復するのを待った。


手も足も動かず半ば絶望的な状態ではあるが、意識だけはしっかりとしていた。意識が朦朧としていてもおかしく無い状況で、これは幸運だった。

ただ、過去の経験からヤバい状態の時は頭を高い位置にした方が良いというのを知っていたので、それが功を奏したとも言えるかもしれない。



したがって、割と冷静に状況を分析する事ができた。


まずは命を最優先にする為、バイクはこの場所に置いて自分だけ歩いて移動することにした。

今回のこの手足の痺れは、おそらく筋力を使ったことによって発生した乳酸によるものだと推定。したがって、これ以上の大きな力を使う作業は厳禁だと考えた。



ゆっくり歩くだけなら、なんとかなるかもしれない。


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遭難ポイントからスタート地点までは、最短の道を通っておよそ8km。

ゆっくり歩いても2時間程で到着できる計算だ。

既に飲み水は無い状態で2時間も歩くのは危険かもしれないが、幸い日差しは雲に遮られ気温もそれほど高くない。2時間位なら歩けるかもしれない。

というか、この場所にいても何も好転しないのだから、歩く他ないのだ。


もしくは、本来向かうはずだった北西の方向に向かえば、少しの距離で林道の外に出る事ができる。

だが、この地図の通りに進んでこの笹薮にいるので、地図に載っている道で最短で外に出られるという保証は無い。

少し遠回りをしても、スタート地点に戻るよりは早く外に出る事もできるが、その場所に何があるかは不明。

農家や山菜採りの車にでも遭遇すれば良いが、確証がない。

今のこの状態で確証の得られない行動は危険なので、距離は遠くとも、確実な行動を取る方を選んだ。


スタート地点に戻ろう!!


少しずつ体力が戻りつつある。手足の痺れも弱まってきた。なんとかなりそうだ!


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インナープロテクターとヘルメット、キャメルバックなど必要の無いものは全て置いていくことにした。少しでも身軽にした方がよい。


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非常に心苦しいが、マシンもここに置いていく。

出来れば、なんとかしてこの場所からマシンを脱出させたいが、一人で脱出させるにはかなり過酷な状態にある為、力任せにやってもしまた手足がしびれるような状態に陥ったら、今度はもう本当に終わってしまうかもしれない。


今、奇跡的に体力が回復したのだから、『確実な方法』を選択するのが賢明なのだ。


「いざ、歩かん!!」







by tm144en | 2018-07-27 06:12 | tm125EN | Comments(0)
2018年 07月 26日

【tm125EN】灰色の空に希望を(第3話)

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「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

深い笹薮の中で、身動きの取れなくなったマシンと格闘していた。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


どうして、胸の高さまで埋まるこの深い笹薮を先に進めると思ったのか。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


過去に経験していた。戻れない道を進んではいけない。絶対に・・・


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


とにかく、マシンを方向転換させなければならない。しかし、傾斜がかって立てる範囲が1メートルもない場所で、マシンの向きを180度返るのは容易なことでは無かった。まして、こんな状況で・・・


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


すでにキャメルバックのドリンクは空になっていた。『タイムリミット』が迫っていた。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


『死に物狂い』でマシンの向きを変え、なんとか来た道を戻れる体勢にはなった。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


だがしかし、もう限界である。少し休んだ方が良い・・・
笹薮に埋もれるようにして横になった。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


どうしたことか・・・・さっきから息が上がって、いっこうに治る気配がない・・・


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


まずい・・・横になるのはまずい・・・立っていた方が良い


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


マシンを支えに、なんとか立ち上がった


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


しかし、脳みそが下に落ちる感じがして、気がつけばマシンと重なって倒れていた。


「ハァ・・・ハァ・・・」


まずい・・・ガソリンのコックをOFFにしなきゃ・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


もう・・・マシンを起こすこともできない・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


あれ・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


やばい・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


手が・・・しびれてきた・・・腕が・・・しびれてる・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


まずい・・・これはまずい・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


とにかく急いで着てるものを脱がなければ・・・血流を・・・・確保・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


足も・・・やばい・・・下も脱がなきゃ・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


「ハァ・・・ハァ・・・」


「ハァ・・・ハァ・・・」


「ハァ・・・ハァ・・・」


過去、何度も体力の限界を体験してきたが、こんな状態になったのは初めてだった・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


腕が動かない。手が丸まったまま固まってしまった・・・
足も同様に、くの字のまま動かない・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


呼吸は治る様子もなく、視界は緑色に染まっていた・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


動けない。動かない。


「ハァ・・・ハァ・・・」


上下素っ裸になり、手も足もまともに動かせない私は、まるで産まれたばかりの赤子の様にただ横たわっていることしかできなかった・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


「ハァ・・・ハァ・・・」


過去、幾多の困難を乗り越え、体力の限界と戦い生還してきた。どんな時も、他人の助けなど借りなかった。


しかし、流石にこの状況はもうだめだ。自分一人でどうにかできる状態ではない。屈辱的で非常に情けないが、救援を呼ぶしか他に方法は無いだろう・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


一人で山に入って、無茶な事して、自力で脱出出来なくなって救援を呼ぶなんて、なんて情けない、なんて大馬鹿な野郎のすることか・・・情けない・・・情けない・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


だが、そんな心配は無用だった。携帯の電波は届かず、人の気配など皆無のその場所で、私には助けを呼ぶ手段など初めから存在していなかったのだ・・・





by tm144en | 2018-07-26 04:17 | tm125EN | Comments(2)
2018年 07月 25日

【tm125EN】灰色の空に希望を(第2話)

1時間程の休憩し、後半戦をスタートさせた。

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後半戦は、先週開拓したルートを再度辿り、途中諦めた所から先を目指すことに。
まずは例の川渡りポイント。既に邪魔な枝は伐採済みで、しかも一度通った道なので走行は至って容易である。

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なんかからまってはいるが。

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分岐点の確認。

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前回はここでスタート地点に戻る方向に進んだが、今回は新たなルートを開拓することに。

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前半戦に引き続き、倒木伐採がメインのルート開拓。

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わざわざ切らなくとも、かき分ければ通れなくもないが、

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どうもスッキリさせたいらしい。

だが、あまりにも伐採の方に力を注ぎ過ぎたのは良くなかった。ライディングの方が疎かになるからだ。
ただ平坦な場所を走るだけならまだしも、こういった獣道を走行するのであればある程度レベルの高い走行スキルが必要とされる。ずっと走り続けることで身のこなしがマシンと一体化し、走行スキルが上がっていくのだが、今回はまだだった。

まだ、だったのだ。

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不意に足元を救われて転倒。あまりにも一瞬の出来事だった。幸い、綺麗に受け身を取れたので体のどこにも異常はなかったが、意図しない転倒は精神的なショックが大きい。

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原因はこれだ。進行方向に対してやや斜めに転がっている丸太。茂みに隠れて視野に捉えきれていなかったのだ。この丸太にフロントがすくわれた、というわけだ。

ライディングが途切れ途切れになると、このように目が慣れてこないことによる転倒が発生する。
気をつけなければなるまい・・・・

と思った矢先に、

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またも倒木。しかも、かなりのヘビー級だ。
後半をスタートしてからこの時点でまだ1時間程しか経過していないが、既にスタミナは底をつきかけていた。前半の疲れが1時間の休憩で完全に回復するわけもなく、さらに倒木の連続。SAMURAIの威力は絶大で、思いのままにスパスパ切れるのだが、それが逆に私を苦しめたのかもしれない。

「切らないで諦める」

という選択肢が無かったのだ。なぜなら『切れる』から。

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「やるしかない!進むしかないんだ!!」

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細めの枝が四方八方にかなりの数があり、それらを剪定するだけもかなり大変な作業だったが、メインはこの大木。
力の向きを考えて下から切り込みを入れていくが、ノコが挟まれてしまった。

「違ったか・・・?」

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ならばと、上から切り始めるが、やはりノコが挟まれる。
角度を変えずとも、常に角を捉え続ける曲がり刃のSAMURAIであるはずなのに、この大木に対してはあらゆる角度から切り込みを入れる必要があった。

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やっとの思いで切断。ここまで15分かかってしまった。

しかし・・・

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このままではどうにもこうにもならない。切断はされたが、ビクともしないのだ。無駄に多い、四方八方に生えている枝のせいで、丸太が転がらないのだ。
一人ではどうにもならない。

こうなったら、

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こちら側も切るしか無い。ここまできたら、やるしかないんだ!

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合計20分以上かかって、なんとか開通させることが出来た。

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丸太は30センチ近い太さだった。SAMURAIの刃渡は40センチなので、ギリギリの太さだったと言える。

やっとの思いで道を開通させ、いざ先へ進もうとした所で、私の体力はもはや限界に達していた。
走るだけならできる。それはどんなに疲れていても造作も無いことだ。だが、また降りて何かをするのはもう無理かもしれない・・・

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と思った矢先。
こんな小枝の塊が、マシンの進行を妨げる。
まだ数メートルしか走っていないのに・・・

結んだばかりのSAMURAIを取り外し、細い枝を切って回る。もはや自分が何をしているのかも判断がつかなくなっていたのかもしれない。意識はまだしっかりとしているが、判断能力が著しく低下していたように思う。

危ない。

山では、常に精密で正確な判断が必要とされる。いい加減な行動は、即座に自分へ跳ね返る。

まるでルーティーンワークの様に、バイクを止め、ノコを出し、枝を切り、ノコをしまい、また走り出す・・・
何かを判断しての行動というよりは、ただ障害物を『切り拓く』。それだけの思考状態。

「あ!」

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転落。崖に転落した。

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落差は2メートル程だった。
不意にはじかれたマシンを制御する体力が残っておらず、暴れるマシンと共に崖へまっしぐら。運良くマシンだけが先に下に落ち、私は手前の木にぶつかったことで、マシンの下敷きにならずに済んだ。

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思わず笑ってしまった。自分の不運さを、もはや笑うことしか出来なかったのだ。
今まで何千キロも林道を走ってきたが、こんなことは初めてだった。まさか崖から転落するとは。これがもし落差数十メートルの崖だったら、どうなってただろうか・・・

不運というか、幸運というのか。

しかも、落ちた場所から先ほどの道に戻る為には、緩やかな傾斜を登って戻ることができたのだ。
これはもう幸運としか言いようがない。ラッキーだ。

だが、本当のラッキー者は、そもそも落ちないはずだが。

体はアチコチ痛い。全身にプロテクターをつけていたから、どこかを軽く打ち付けた程度で済んではいるが、疲労困憊の体にはこたえる。

さすがに意気消沈した。今日はもうやめよう。先ほどの転倒に続き、崖に転落と続いたのではもう私にマシンを操る体力が残っていないということだ。

・・・・だが、もう少し行けば、ルートが開拓されるはず・・・

もう少し・・・

もう少しだけ・・・

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気づいた時には深い笹薮に阻まれ、身動きが取れなくなっていた・・・


by tm144en | 2018-07-25 05:15 | tm125EN | Comments(0)