【500-Vdue】<第7章:整備>(第16話:クラッチハウジングギア②)〜目覚めよ!冥界の支配者〜
2026年 02月 11日

それじゃベアリングを外していきます。

サー・・・
シー・・・
スナップリング?
これいっつも呼び名迷うんですよね笑
(余談:名称)
専門の学校や、本職の現場に携わってこなかったプライベーターにとっての悩みどころの一つに『部品の名称』があります。
今回の『クラッチハウジングギア』に関しても仮称としてますし、正式名称は探しても出てきません。
パーツリストの名称を参考にすることもありますが、海外だと表現の仕方が違いますし、今回に関しては『ギア』としか書かれていません。
また、業界や人によっても使う名称が変わることが往々にしてあります。
例えば『トリプルクランプ』
フォークを固定しているブラケットのことですが、『三叉』『トリプルツリー』『トップブリッジ』『フォークブラケット』『ステム』などなど、人によってさまざま。
『トリプルクランプ』はアメリカが主流の呼び方のようで、ヨーロッパの方では『フォーククランプ』と呼ばれるそうです。
『トップブリッジ』は厳密にはトリプルクランプの上側だけを指しますし、『ステム』は間違いではありませんが、どちらかというと『ステムシャフト』としてシャフト単体を指す場合が多いと思います。
その人が最初に覚えた呼び名が、その人にとっての『正式名称』となるのでしょう。
他には『ブッシュ』
バイク業界では、ベアリングの『内輪』のことを『ブッシュ』と呼ぶケースが多いですが、車業界だと足回りについてるゴムの緩衝材を指します。「ブッシュをピロに交換する」なんてしょっちゅう言ってましたので、バイク業界で「ブッシュでしょ?」と言われても「いやいや、金属です」とトンチンカンな返答になってしまいます。

さて、サークリップを外したら、プーラーでベアリングを引っこ抜きます。

無事脱。
奥にはもう一つニードルベアリングが入っていますが、段差があるのでこちらからはアプローチ出来ません。

なので表側。シールのついてる方から外します。

まずはシールと、そこについていた内輪。

その奥のニードルベアリングは、プーラーのサイズが僅かに届かなかったので、

反対側からプレスで押し付けることに。段差から僅かにはみ出ていたので助かりましたね。

だいちゃんガレージお役立ちツールの『ハンドプレス』
ベアリングの圧入関連作業において、非常に使い勝手が良くて気に入っています。出番は少ないですが、油圧プレスは段取りが面倒な場合が多いので、ちょっとした作業で活躍してくれます。
ただし、
これを購入したのはいつものAmazonですが、精度がちょっと良くないので工夫が必要でした。具体的には、台座に対してプレスシャフトが垂直になっていないので、台座の方に20mm厚のプレートを置いて、フィラーゲージで傾きを付けてプレスシャフトとの垂直を出しています。20mm厚のプレートは、プリハードン鋼NAK55を上下面サーフェース仕上げした物。
あとは、プレスシャフトの先端にバリが残っていたので、それを綺麗に仕上げました。
それらの処置でほぼ完璧な垂直精度が担保され、ベアリングやシールの焼きばめじゃない圧入作業においても、高精度に行うことが出来るようになりました。
また、油圧プレスよりもかけられる圧力が弱いので、高負荷がかかっている状態を手の感触で判断しやすいのが良いです。油圧プレスだと、ゲージが無ければどれくらいの圧力がワークに発生しているかわからず、場合によってはワークを破損させてしまうこともありますからね。
あと注意事項として、プレスシャフトが本体上部に飛び出すのですが、ギザギザしたものが剥き出しとなっていてそこに間違って指をかけると、無尽蔵に内部に引き摺り込まれてしまいます。
なので、塩ビ管などでカバーをしておくのが必須となります。

というわけでニードルベアリングも無事脱。
それでは細かく見ていきます。

まずは問題の固着したボールベアリング。外した状態にしても、全く動いてくれません。プーラーを内側から引っ掛けて、強い力で回さないといけないレベルでした。
してこのベアリング。刻印がありませんね。どこ製のベアリングだろうか?
サイズは6805。一般的なサイズなのでNTNなどから入手は可能ですが、内部すきまをどうしましょうね。ミッションシャフトの軸になる部分なので、まぁ等級は0でも良いかなとは思いますが、内部すきまはちゃんと考えた方が良いでしょう。
ハウジングの内径とベアリングの外径からしめしろを計算して、内部すきまを判断する必要があります。ただ、外輪圧入のはめあいなので、往々にして内部すきまは広め。すなわちC3程度を選定すべきかとは思います。
ですが、クランクベアリングの時とは違ってギアは鉄製のハウジングですので、熱膨張による寸法変化はアルミに比べて軽微となります。そういった場合のしめしろはどう考えられているのでしょう。
これは後日検証してみます。

ニードルベアリングはINAのシェル型で、サイズはHK3016・・・2RS!?!?!?
シール付きなの!?
そう。両シール付きのニードルベアリングが採用されているようです。

シャフトの隙間、矢印部分からオイルの侵入がありますので、ボールベアリング部は筒抜けですが、その奥のニードルベアリングの両シール。そして一番外側のオイルシールの3段構えにしていることになります。
さすがに気合入り過ぎでは!?
ducatiの場合、ミッションシャフト部分には外側のオイルシール一つで対応していますので、dueは明らかに過剰防衛な感じがします。
まぁ、いいんですよ。過剰に防衛することは。ですが、小さなオイルシールとてそれは僅かな回転抵抗になりますので、許されるなら出来るだけ少ない方がマシンにとっては良いと言えます。
ただこの辺の構想ももしかすると、カセット式ミッション故のことかもしれません。すなわち、頻繁なシャフト抜き替え作業を想定し、多少シールに傷が入っても保険として2個3個付けておくことで、クラッチ側にオイルが侵入するリスクを最小限にしている。
もしそうだとしたら、私の場合は不要ということになりますので、いっそシール無しのベアリングに換装するのも『手』ではあります。
まぁこの辺もちょっと宿題にしておきます。

ちなみにニードルベアリングのシールはご覧のありさまでした。私?私がやったのか?
・・・ちょっと判りませんが、気づいたらこうなってました。

さて、最後のトピックはこちらのブッシュ。
ニードルベアリングの外側にオイルシールが配置され、そこに使用される内輪なのですが、NTNやINAなど市販で購入出来る内輪では合う寸法がありません。
内径と外径はあるのですが、幅の合う物が無いんですよね。
マジかぁ〜どうすっかな〜と思っていろいろ見ていると、あることに気がつきました。
下の画像を上の画像と比較して、どこが気になるか判りますでしょうか?

おなじ内輪の、両端面の仕上がりの違い。
はい、正解!そうです。面取りの幅が違いますね。

純正で使用されている内輪をよく観察すると、どうも旋盤で削られたような面取り、及び端面の仕上がりになっているのです。とてもベアリングメーカーの仕上げには見えません。


ニードルベアリング側のブッシュと比較するとその違いは明らか。面取り幅もその仕上がりもキチンとしています。
つまり、市販の内輪を旋盤で削ってdueの寸法に合わせているのです。これは間違いないでしょう。

となると、合わせられるブッシュはNTNではこの2つ。幅が20mmか30mmかの違いとなります。チャックで掴むとしたら長い方が良いかな?・・・と思ったのですが、ここで注意事項。20mm幅の方には※マークが付いています。内容は『※印のつくものは外径面の面取りが『糸面』のものを示す』とあります。
糸・・・面・・・?
調べると、要するに最低限の面取り加工のみがほどこされているということのようで、寸法表の『t』の値も記載されていません。
となると、じゃぁやっぱり30mm幅の方で良かったか?・・・と思われますが、純正の内輪の面取り幅を測定するとなんと1mmしかありません。となると、30mm幅のものにすると面取り幅が1.8mmとなっていますので、形状が変わってしまいます。
それくらいどっちでも良んじゃね!?
・・・というレベルの違いでしかありませんが、まぁせっかく選択肢があるのですから20mm幅の方を用意することにします。
もうちょっとこの話は続きます〜
by tm144en
| 2026-02-11 00:52
| bimota 500-Vdue
|
Comments(0)

