【500-Vdue】<第4章:分解>(第28話:ミッションベアリング取外①)〜目覚めよ!冥界の支配者〜
2026年 01月 23日
(2671字)
bimota 500-Vdue
分解最終章

ミッションのシフトドラムのベアリング。これだけまだ外していませんでした。
分解の必要性の有無という意味では、今回のこのベアリングでおそらく最終章となるハズ。
このニードルベアリング。クランクベアリングを熱膨張で外した時に一緒に外れてくれれば良かったのですが、どうやらシェル型は熱膨張だけでは外すことが出来ないようです。
おそらく、圧入状態でさらにテンションも掛かってるんだと考えられます。
というのも、シェル型は圧入を『焼きばめ』で行うことは出来ず、プレスで押し込む方法しか取ることが出来ません。新品状態の外径が、ハウジングの熱膨張の分を超えているんですよね。
なので、プレスで『外殻』を『潰しながら』圧入していく必要があるのです。
そういう設計思想なので、シェル型の『外殻』は薄い鋼板で出来ており、圧縮されて塑性変形した分としていない分。つまり弾性変形で止まっている分があり、ハウジングを熱膨張させても弾性で広がり、スルンと外れてくることは無いのだろうと考えられます。ボールベアリングや、ニードルベアリングでもソリッド(削り出し)のタイプは外輪が厚く高剛性に出来ているので、基本的にはハウジングの押し縮める力でのみ保持されており、弾性変形による歪みは極めて少ないのではないかと考えています。
ちなみにこのシェル型ニードルベアリングは、そういった理由から再利用は不可とされています。
どんなベアリングでも基本的に外したものは再利用不可と言えますが、ことシェル型に関しては『潰しながら入れる』というのがミソなので、より一層『不可』ということになります。
ーーーーというわけで、このベアリングを外すにはプーラーを用いるしか無いのですが、なにせサイズがデカい!
内径35mmもあるので、市販のベアリングプーラーセットではサイズが足りません。

ストレートの工具で35mmまで揃っているセットがありますが、今回の為だけに19000円はちと痛い。昨年新しいベアリングプーラーのセットを買ったばかりなので、その前だったら良かったのですが・・・
35mmが単品であれば良いのですが・・・

あったーーーーーー☆☆☆
さすがAmazonだぜ!かゆい所に手が届く!

というわけで早速調達。はめ合いも問題なく、これで取り外しが出来・・・・・

ない!
既存のベアリングプーラーのボルトでは、細くて使用出来ません。

ただここは、インチのボルトが使えるので、ネジ径変換アダプターを作れば対応は出来ます。
問題はこっち。

足の長さが全然足りません。足りないし、そもそも

なんとも、こう・・・スペースが均等じゃないというか・・・肉厚も薄いし・・・
こーれーはー厄介なことになったぞ!
せ・・・
せ・・・
せ・・・
旋盤の匂いがするぅ〜〜〜\(^o^)/♪

というわけで久しぶりの旋盤。(久しぶり?)
いやぁ、旋盤触ってないと落ち着かないんですよねぇ。ほんま中毒、依存症♪
なにかにかこつけて、とにかく旋盤作業をやりたい。そういう精神状態になっているわけです。危険ですね〜旋盤は!

というわけでまずはボルトの頭に下穴を空けます。
今回使用しているボルトはステンレス製。ステンレスは被削性指数50の難切削材。ですのであまり加工したくない材料ではあるのですが、ホームセンターで急遽用意出来たのはこれしかありませんでした。
ユニクロの方のボルトはありましたが、全ネジしか無かったので、内側にM8のネジを切る都合上却下。首下にネジが切られていない物だとこのステンレスのしか無かったということになります。

ドリルはステンレス用を用意し、切削の方はなんとか無事クリア出来ましたが、タップの方がマァ大変!
切削抵抗で明らかにタップが『しなる』ので、折れないよう気をつけながら慎重に作業する必要がありました。
「グニュ〜、ニュッ、ニュッ、パキン!」といった手応えを繰り返し、概ね1/10回転切った所で3回転以上戻すといった要領。タップのしなる弾性域を見定め、折れないギリギリの所で何度も何度も繰り返す、根気のいる作業となりました。
深さ16mmのタップを立てること30分・・・

よ〜〜やくネジを切り終えることが出来ました!
もしタップを折ってしまったら予備はありませんでしたし、ホームセンターの営業も終わっていた時間なので、そういった側面で緊張を強いられましたね。
ステンレス嫌い!

ネジ部が長いと無駄に『下駄』を噛ませなければならなくなるので、先端をカット。

これでようやく、ネジ径変換アダプターの完成となりました☆

さて、ここからが本番。
ネジ径変換アダプターを利用して、37mmのベアリングプーラーの装着が可能にはなりましたが、ツールのサイズが大きくて足が届かないので、『下駄』が必要になります。

さらに、その『下駄』を置く位置が限られているので、その点も考えなければなりません。

設計の構想はこんな感じ。
まず、ベアリングを引っ張り上げる時に『足場』となる場所に関しては、ハウジングの厚み3mm分しかありません。ボルト穴のある場所は対称になっていないので、力をかけると斜めになってしまいます。
そして、そのたった3mmの『足場』に正確に『下駄』を置くためには、ある程度の位置決めがされる必要があります。なので、ハウジングの外側に被せるようにして中心を合わせる構造にします。そうすることで必然的に3mmの足場から下駄が外れることは無く、引き上げたベアリングが引っかかるというリスクを回避させることが出来ます。
ただ画像では分かりにくいですが、ハウジングの縁は完全な円形になっていないので、干渉する部分に関しては切り取ってしまうことにします。

材料はこちら。ずっと昔に購入したA5052のパイプ。100mmと1000mmを間違えて購入してたくさん余ってるんですよね笑
丸棒はよく使いますが、パイプは用途が限られるのでなかなか出番がありません。
今回ベアリングを引っ張り上げるための材料として、A5052はちょっと柔いんじゃないかな?とは思いますが、圧縮方向の力なのでまぁ大丈夫でしょう。
それより、万が一過剰な力が掛かってしまった場合に、クラッシャブルゾーンとして機能してくれれば、ケースの損傷を防ぐことが出来るという点に期待があります。

ベアリングの外径φ42mmに対し、φ43mmの逃し穴。ギリギリの設計にすると干渉する可能性があるので、φで1mm多く、つまり片肉0.5mmの余裕を持たせることにしました。

というわけで次回作っています☆
by tm144en
| 2026-01-23 00:07
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