測定器紹介⑤
2026年 01月 20日
(5668字)

本日最初はノギスから。
これはもうバイク乗りなら基礎ツールと言って良い物なので、今更多くを語る必要は無いでしょう。
これ一つで外径(幅)、内径(間隔)、深さ(高さ)の3パターンを1/50〜1/20mmレベル(種類に依る)で測定出来るというスグレモノ。
・・・ではあるのですが、その値は極めて凡庸。1/10mm以下の値に関しては、1mm単位をより正確にする『補助』くらいに考えていた方が無難と言えます。
ですので私の場合は、ノギスにあまり多くを求めず、サイズをざっくり判断する場合にのみ使用しています。精密な測定にはマイクロメーターを使用し、その前段階の荒削りなどにノギスを使用する感じです。
普段の作業ブログでよく「ノギスレベル」という言葉を使うのも、そういった理由が元となっています。
ノギスはとにかく『使い勝手』と『高精度な1mm単位』に特化しているので幅広い測定で活躍しますが、それ以上にはなり得ないと考えています。
なので精密さを求めて高価なノギスを買うくらいなら、普通の価格帯の物とマイクロメーターを用意した方が良いと言えます。
あるいは数を用意して使う場所にそれぞれ置いておくと、より便利になります。私もアチコチに置いてすぐ無くし、追加購入後に出てくるというのを何度も繰り返し、数だけ増えてしまいました笑
ですが、旋盤コーナーや作業台、整備スペースなどに置いておくことでいちいち1箇所に取りに行かなくて済むので楽ですね。

ちなみにメインで使ってる100mmスケールのものは、ホームセンターで購入した普通のヤツ。
なのでノギスの精度が気になるところですが、

ゼロの位置で、ある程度確認することが出来ます。ここがキッチリ揃っていれば問題ありませんが、このノギスは0.05mmくらいズレているように見えますね。

0.1mmのフィラーゲージを挟むとこんな感じ。ゼロの位置がズレていたのと同じ分だけズレている印象です。

こちらはアマゾンで購入した150mmスケールの所謂安物系ノギス。ゼロの位置が0.1mmくらいズレてますね。メモリの刻みが均等で正確だと仮定しても、このゼロ位置がズレていたら全てに影響しますので、注意が必要です。

こちらはミツトヨのデプスゲージのゼロ位置。いやぁ、やっぱ本物は違いますね☆
ゼロ位置がピッタリなのもそうですが、メモリの線のクッキリさも違います。この線があやふやだと、そもそもメモリを読む時に迷いが出てしまいますからね。
それ以外も、測定部分の平面度やスライドのガタツキなど、細部に渡って高精度に作られているか否かが、ノギスとしての性能差となるわけです。
ですが、繰り返しになりますが高精度はマイクロメーターに託し、ノギスはあくまで『目安』的な使い方に終始すれば、必ずしも高価なノギスを買う必要は無いと思っています。
それよりも、安物をガンガン使い倒す方が利便性の面では優れていると感じる場面は多々ありますね。高価なミツトヨのノギスだったら、恐れ多くて『ガンガン』使えませんからね笑
例えば旋盤で、ワークを回転させて長手の削り目安にノギスでケガキするなんて使い方もありますので、ノギスはある種『使い捨て』というのが私の解釈となっています。

ただノギスによるケガキは『コサインズレ』が生じるので、精密なケガキが必要な時はケガキノギスの方が優秀です。
ただ、画像のは安物なので使い方をキッチリしないと位置が定まりません。結構グラつくんですよね。
場合によってはノギスでやっても変わんないというか、むしろ『便利』だったなと思うこともしばしば。そうなるとこれはもうケガキにしか使用出来ないですから、『役立たず』となります。
通常のノギスであれば安物でもそれなりに『使える』と言えますが、役割特化型のタイプの品定めは慎重になった方が良いということを学びましたね。

役割特化型のもう一つはこのピッチノギス。ここぞと言う時に活躍してくれます。出番はそう多くありませんが、φ10mmまでの穴の間隔を測定する時に重宝します。バイクの部品とか作る時、『穴ピッチ』は重要ですからね。
通常のノギスでも穴の間隔を計測によって判断することは出来ますが、ピッチノギスであれば1発で測定出来るので精度が違います。
それに画像の物はオフセットした穴位置でも測定可能なので、より様々な場面で活躍してくれます。
過去記事でも何度かご紹介しているので既にご存じと思いますが、鼻息荒くなるくらい感動した測定器と言えます。
注意点は、この画像の中国製の物に簡しては『測定結果に10mmを足す』必要があるので、たまにそれをうっかり忘れて作業ミスすることがありますね。
アナログの物や、デジタルでも最初から10mmでリセットされる物であれば問題ありませんが、ゼロにリセットされてしまうタイプに関しては注意が必要となります。
ただ、これめちゃくちゃ高いんで、購入には覚悟が必要です笑
画像のは恒例のアマゾン安物シリーズですが、それでも2万円ほどするので高価なミツトヨのノギスが買えるレベル。
ミツトヨのピッチノギスだと5万円ほどしますし、10万円近い物もあるくらいなので、なかなか恐ろしいピッチノギスの世界です。

お次はこちら。デプスゲージとハイトゲージ。

まずはデプスゲージ。ノギスのデプスバーよりもさらに高精度に測定する場合に、デプス専用を使用するシーンがあります。
デプスの測定は、とにかくベース部分の安定性が重要ですからね。そこがグラついてしまうと測定結果に影響してしまいますので、測定精度を上げるためにはデプスはデプスゲージに任せるのが吉。
(余談:精度)
一口に『精度』と言っても、実は意味が2通りあります。
英語にすると『accuracy』と『precision』と明確に言葉が違いますが、日本語だとどちらに対しても『精度』という言葉を使ってしまうので、場面によって意味していることが異なる点に注意が必要となります。
『どれだけ真の値に近いか』という意味と、『どれだけバラつきが無いか』という意味。この2つは明確に定義が異なります。
『どれだけ真の値に近いか』という意味は、例えば20mmなのか、20.0mmなのか。はたまた20.00mmなのか、20.000mmなのかといった具合に、より細かく測定出来ていれば『精度が高い』という評価になります。
つまり、ノギスで測定するよりも、マイクロメーターの方が『精度が高い』という表現になります。
一方『どれだけバラつきがないか』という意味での精度は、例えば同じ測定対象物を10回測定し、それらの測定結果が近しければ近しいほど『精度が高い』という評価になります。当ブログでは『再現性』という言葉で表現することがありますね。
この場合、仮に『真の値』よりも離れた値を指していたとしても、一つの値に収束していれば『精度が高い』という表現になるので、文脈により注意が必要となります。

さて、こちらのミニデプスゲージ。これはだいちゃんガレージの歴史において、大きな功績を残してくれました。

それがこのk1のミッションシム調整。
k1のミッションは、カバー側に2つのボールベアリングとテーパーローラーベアリングが取り付けられる構造となっており、それら3つを精密にカバー側に接触させるためにシムで調整する必要があるのです。
シムの厚みを判断するためにはカバー側の深さを測定し、各部寸法から算出する必要があるので、その時にデプスゲージが必要となるわけです。
ただ、この作業をした当時はまだあまり『ネットで物を買う』という時代ではなかったので、デプスゲージはアストロに売ってたこの小さいやつしか手に入れることが出来なかったんですよね。
ですがいろいろと工夫し、とんでもない時間を費やして見事ミッションO/Hを達成。現在に至るまで2万km近くを快調に走り続けることが出来ています。
現在このデプスゲージは、デジタル部分が壊れて使用不可能になってしまいましたが、思い出深いツールの一つなので捨てずに保管してあります。

そんなk1ミッションシム調整の時にこれがあれば・・・というのが、比較的最近購入したこちらのミツトヨ製デプスゲージ。
ベース部分に延長バーを取り付けることで、クランクケースなどのような広い面でも対応出来るようにしてあります。
この延長バーは純正品も当然出てるのですが、私は敢えて自己流で改造。上下面サーフェイス仕上げのフラットバーをミスミで発注し、それに穴空け加工を施し(ピッチノギス活躍!)、定盤の上でボルトで固定しました。これで先ほどの画像のようにキッチリゼロ位置が出ていますし、さらに20mm厚のフラットバーを使用することで安定して自立させることも出来るようになっています。
純正品の延長バーは厚さが8mmなので、本体と合わせてもそれほど安定性はありませんが、私のは厚くて重たいフラットバーがついていますので、まず倒れることはありません。
が、

不意に持ち上げようとバーの部分を掴んでしまうと、そのまますっぽ抜けてしまうことがしばしば。これ、結構やっちゃうんですよね笑

このデプスゲージには微動送りという機能が付いており、バーを測定対象物にそっと近づける時などに使用することが出来ます。
信頼のミツトヨですし、副メモリは0.02mm刻みになってますので、このデプスゲージで1/100mmレベルの測定も出来なくはないですが、そのレベルを確たるものとするためには、やはりデプスマイクロの出番と言えるでしょう。

さて、お次はこちらのハイトゲージ。これは定盤とセットで使うのが基本ですが、対象物の主に高さを測定するのに特化された測定器となっています。
ノギスやデプスゲージでも同様の測定は出来なくはありませんが、安定性した測定が出来るのがポイント。

また、先端を測定物にこすりつけることで、ケガキツールとしての利用価値もあることはあります。もちろん、使い過ぎると先端が丸まってきますが。ですので、交換できる構造になっているのは重要です。(部品単体購入が出来るのであれば)

ですがこのデプスゲージ。購入早々にデジタルゲージが故障。現在はアナログメモリのみでの運用しか出来なくなってしまいました。
先ほどのミニデプスゲージも壊れて使えなくなりましたが、あちらは大役を果たしたので悔いはありません。しかしこのハイトゲージはまだ全然未活躍。
測定器はなにせ値段が高いですからね。ついつい安物に逃げたくなるのが人情だと思いますが、特にデジタル併用の物に関してはここが壊れるとほとんど使い物にならなくなりますので、まさに『安物買いの銭失い』。
安物測定器を買うなら、せめてアナログにしておいた方が、まだ救いがあります。
ですが私は、
「もう2度と安物測定器は購入しない!」
と、固く心に誓いました(場合によりますが笑)
測定器に関しては、特に精密さを求めるなら安物はほんと買う意味が無いんですよね。冒頭に話した『ノギスレベル』であれば、まぁ割り切って使うことは出来ますが、1/100mmを追い求めようとするならそれ相応の覚悟・・・つまり『費用』が必要になるのです。
仕事で利益を得るためならそれは当然の話とも言えますが、私のような『プライベーター』にはかなり厳しい現実ではあります。個人で1/100mmレベルを追求するのは、そう容易いことでは無いのです。
ですが、物は考えよう。
今、タイヤいくらですか?前後で10万円くらいしますよね。
1〜2回サーキット走るためだけに、タイヤ代、走行費等々を合わせると、高価な測定器1つ2つ買える金額。
すなわち、『どちらに価値を置くか?』という話になってくるわけです。
私はどうもケチくさい性分でして、値段そのものよりも『残る物か否か』がお金を支払う時の判断基準として大きく作用します。
タイヤ、オイル、ガソリン。これ無くしてバイクは走ることが出来ませんが、これらはすべて走るとゴミなる(消えてなくなる)消耗品。そういう物よりも、バイク本体であったり測定器といった『残る物』に出来るだけお金は使いたいというのが私の『価値基準』となっているのです。
とはいえ、安いタイヤ、オイルは使いたく無いですから、だったら走る回数を減らす・・・というのが、現在の結果と言えます。
まぁ、意図的に走る回数を減らしたわけではありませんが、バイクを増やしたり、ものづくりや重整備をすることで、必然的に乗る頻度が減ってしまったというのが実際です。
ただこういう意見もあります。『体験価値』
「物にお金を使うのは、それはただの物欲でしかなく、旅行や走りなどのように人生を彩るものにお金は使うべきだ」というもの。
解ります。それはよく解ります。
ですが、かくいう私も、その『体験価値』を購入しているのです。
1/100mmが測定出来るツールを購入することで、出来なかったことが出来るようになる。
乗ったことのないバイクを購入することで、見えなかった世界が広がる。
これはまごうことなき『体験価値』。
そもそも、どんな物であっても、それを購入したか否かではその後の『体験価値』は大きく異なります。例えば高級時計にしたって、『こんな高級時計を身につけている』ということが自信につながり、人付き合いが活発になったり、それはその人なりの『体験価値』として付与することは十分あるわけです。
大事なのは、『買っただけで満足しない』ということ。
往々にしてあることですが、買っただけで満足してそれ以降使わないというのは、それは単なる物欲を解消しただけに過ぎませんからあまり意味を成しません。
強いて言うなら、『これは私には必要の無い物だった』ということを学ぶ機会になったわけですから、完全な無駄とは言い切れませんが、それでも『体験価値』として発展させられないのであれば、『単なる物欲』と一蹴されても仕方がありません。
まぁそれに関しては私も思い当たる節が多々ありますけどね・・・苦笑
by tm144en
| 2026-01-20 00:17
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