【500-Vdue】<第7章:整備>(第4話:シリンダー洗浄・ポート処理)〜目覚めよ!冥界の支配者〜
2025年 11月 05日

大袈裟なシステムを構築し、見事ポートタイミングの詳細な測定を可能にしました。同時に課題も残りましたが、まずまずの方向性は確立出来たと一安心。
そもそも
なんでわざわざポートタイミングなんぞ測ろうとしているのかといいますと、ポートタイミングに製造上のミスがあったという『噂』が発端でした。ですので、新旧シリンダーの排気ポートとブースターポートを測定して比較。両者には明らかな違いが確認出来たので、「新旧混在使用は不適である」という結論を導き出すことに成功。
そう。これで『ポートタイミング測定システム』のお役は御免。次の作業にとりかかることが出来ます・・・
・・・
・・・
・・・
いや、ちょっとまてーい!
せっかくあそこまで大袈裟なシステムを構築して、これでオシマイじゃぁ浮かばれません。まだなんかやり残したことがあるのでは?
そもそもブースターポートに関して言えば、同じ新シリンダー同士でもタイミングの違いが確認されています。新気導入のタイミングのズレが、どれだけ高効率燃焼において重要であるか定かではありませんが、少なくとも横並びのブースターポート同士のタイミングは揃っていた方が良いに決まってる!・・・とは想像出来ます。
そして、他にも測定していない掃気ポートがあと4ヶ所あります。それらのタイミングや『向き』なども詳細に把握しておくことは、エンジンコンディションにおいてとても重要であると考えられます。2ストロークエンジンの『カナメ』はポートタイミング及び形状ですから。
ですので、ポートタイミングチューニング・・・とまでは恐れ多くて言えませんが、少なくとも『理想的な形状』くらいには調整してみることにしました。

というわけでまずは、カーボンまみれのシリンダーを一旦綺麗に洗浄します。排気ポート周りが真っ黒で、測定の時も少し見づらかったんですよね。


インジェクターを外すと、片方だけ黄ばんでいました。新シリンダーの下バンク側です。
これはガソリンが流れてきていなかったのか?
溜まっていたものが25年で揮発し、混合のオイルだけが残ったのだとすれば、両方が黄ばんでいて然るべき。
しかし、黄ばんでいたのは4シリンダー8ヶ所のうち唯一ここだけ。なので、もしかするとインジェクター側に何か問題があるのかもしれません。

インジェクターも少し黄ばんでいて、その代わりノズルの先端は綺麗なママ。

黄ばんでいた方のインジェクターのガソリン導入口を拡大してみてみると、ちょっと汚れが酷いように見えますね。

他のインジェクターは多少ゴミっぽい物は確認出来ますが、特に問題は無さそうな感じです。
もしかすると、インジェクターが作動してなかった可能性がありそうですね。ノズルが綺麗だったのも、ガソリンが噴射されていなかったからといえば納得です。
幸いにも予備のインジェクターは4個もあるので、とりあえず別の物をつけて運用してみることにします。
インジェクターの問題であれば良いんですけどね・・・

ーーーーさて、シリンダーをキャブクリーナー浸けにし、スプレー洗車機で洗浄。これを3回ほど繰り返し、粗方の洗浄が完了しました。

まだ取り切れていないカーボンがありますが、残りはリューターにブラシをつけてちまちま落とすことにします。ブラストもありますけど、ちょっと準備するのが面倒で・・・苦笑
ちなみに上画像は新シリンダー下バンクの排気ポートで、

こちらが新シリンダー上バンク。洗浄前からそうだったのですが、明らかに上バンクの方がカーボンの堆積が多い印象でした。上バンクの燃焼に問題を抱えていた可能性がありそうですね。
というか、
下バンクの方がインジェクター1発でガソリン薄くなっていたのかもしれませんね。
いや〜、まだまだ考えなければいけないことが、数限りなくあるな〜・・・
その頂、ヒマラヤの如し

排気ポートの汚れは、リューターにナイロンブラシをつけて磨きます。これが現時点での最適解。
ポートを磨くことでマジマジと観察するようになり、気になることを発見します。

排気ポートのフチの部分が、少し盛り上がっているのが見えます。おそらく鋳肌の時点であまり綺麗に出来ていなかったのでしょう。面取りで削られていますが少しだけ残っています。あと、画像右側も結構モッコリしています。
出口にこれがあると、ちょっと気になりますよねぇ。

というわけで、リューターで削ります。

場所が場所だけに緊張しますが、綺麗に削れましたね。
ただ、もっと気になる場所があります。

そう。鬼門のブースターポート。なんじゃこりゃりゃ!?

なんか、もう『バリ』ですよコレ。

吸気口にこんなのあったら、空気の流れが悪くなってしまうのは明らか。

これもリューターで削っておきました。
ですが、測定の時に思いましたがそもそもこのブースターポートの形状が『いびつ』なんですよね。なので、測定ポイントが定まらず、結果の値にもバラツキが出てしまったのです。
バリ取りも良いですけど、形状ももうちょっと整える必要がありますね。

あとは、掃気ポートの入り口のこの隔壁の部分。新シリンダーの方はおそらくファンキーさんが少し削ったのでしょう。

旧シリンダーは座面仕上げのママで真っ平になっていました。
ケースからシリンダーに空気が送られる時にこの隔壁にぶつかりますので、空力的にここはしっかり尖らせておきたい所。
ちなみにtmは、旧体制の時はここの仕上げも手作業でやってくれていましたが、新体制になってからはやってくれていません。
経営者が変わると、考え方も変わりますよねぇ〜・・・

とりあえず時間の許す限り削って、このくらいにはなりました。これだとまだ三角形なので、もう少し、こう・・・なんというか・・・『人』←こういう感じにするのが理想的だと考えています。
空力ですが、理論的にはこれと同じことが言えると思います。
最初が「シュッ」としてる方が速いんですよね。


ブースターポートの方も同様。
ここの形状をやるだけでもシリンダー2つで合計6ヶ所。それ以外にポートのバリ、ブースターポートの歪さなど、『適正な状態にする』だけでも結構な手間がかかってしまうわけで・・・
by tm144en
| 2025-11-05 00:07
| bimota 500-Vdue
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