【500-Vdue】(第23話:クランクシャフト④)<第5章:測定>〜目覚めよ!冥界の支配者〜

(2050字)


「クランクの芯を真に出すことなど、物理的に成し得ない」


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それが、最終的な結論です。


その理由を以下に挙げます。




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まず、ピンとウェブのはめ合い部。ピン及びウェブのハウジングが『真円』同士であり、なおかつ長手方向にも『真直』であると仮定すると、そのはめ合い部は理想的な状態となります。

しかし、機械加工品であるピンやウェブには必ず『公差』が発生しており、真円度はもとより、真直、寸法に至るまで『完璧』とは言い難いのが実情と言えます。


したがって、




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実際にはこのようなはめ合いになっていると考えられるのです。

ただし、もちろんこのような空白は存在しませんので、



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境界面を拡大すると、素材同士が弾性変形、あるいは塑性変形して波打ったような状態になっていることになります。この時、ピン側およびウェブ側で『弾性変形』して重なっている部分には『残留応力』が残っているというのが私の考え方であり、前回の最後に書いたことです。

つまり、変形した状態で矢印方向にお互いが押し合っている状態となります。

この力は、お互いに均衡が取れていればさしたる問題は無いと言えるのですが、外から熱や力を加えることで均衡が崩れる場合が想定されます。すると、お互いの位置が大きくズレてしまう。

この現象が、クランクの芯出しを難しくする最大の原因だと考えています。

つまり、ハンマーなどで叩いて見かけ上芯が出たように見えても、境界面の残留応力が解放されるとまた元に戻ってしまったり、ズレてしまったりしてしまう。叩いても叩いてもあっちにズレたりこっちにズレたりするのは、このためである可能性もあるのです。

もちろん、叩き方の『アテ』が外れてるというのも当然あるとは思いますが。


ピンとハウジングが真円真直同士であれば、圧入するだけで完璧な真っ直ぐになって然るべきです。しかし、仮に両者がその状態だとしても、圧入時に斜めになってしまうことも、往々にして考えられます。
その場合は、内部の残留応力を解放してやれば真っ直ぐに戻ることになりますが、それは弾性変形で済んでいた場合。もし、塑性変形した箇所が存在した時点で、もう原理的に『真っ直ぐ』はあり得なくなってしまうと考えられます。

真円同士でさえそうなのですから、真円同士ではない場合で考えると、もはや『芯を出す』など荒唐無稽な感じすらしてしまいます。


ーーーーこの話のスケールは、1/1000mmどころか、1/1000000mm位のスケールの話なので、あまり神経質になっても仕方がないとは思います。そんな、測定も出来ない領域を考えてもどうすることも出来ませんからね。

だからといって、その概念を蔑ろにして良いということにはなりませんので、境界面でどの様な現象が発生しているか?それくらいは心に留めておいた方が良いだろうと思っています。




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さて、話は変わって、別のアプローチで測定を行うために、また新たに測定器を導入しました。てこ式のマイクロメーターです。
これを使用してウェブ自体の直角度を測定してみます。




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まず、クランクシャフトを旋盤のチャックに直で掴み、芯を確認。





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その状態でてこ式をウェブ側面に当てて測定します。

このウェブ。円周面の精度は出ていないので、そちら側では測定出来ないのですが、側面は切削加工されて精度が出ている様に見えたのでこの方法を取りました。
普通のクランクもそうですが、このクランクシャフトもウェブとシャフト部分が一体になっているんですよね。流石にウェブ外径の丸棒から削り出すのはコストがかかり過ぎるので、ある程度の寸法になっている状態まで鋳造し、ウェブの外側を掴んで削り出してるのではないかと考えています。

なので、基本的にはウェブ側面とシャフトの直角は出ているハズ。それを確認します。




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結果は、マーキング位置がそれぞれ内側に0.02mmずつ凹んでいるといった状態でした。
しかし、ゼロから徐々に0.02mmに向かって針が動くというよりは、この位置だけ極端に凹んでいるといった印象。これはおそらく、クランクウェイトが圧入されているので、そこに引き摺られて凹んでいるのではないかと考えられます。

したがって、シャフトとウェブの直角はちゃんと出てると考えて良いでしょう。なので純粋に、ピンとウェブのはめ合い部の2ヶ所。ここでこのクランクの芯が左右されていることになります。




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クランクウェブは、上図のように『ハの字』に広がっているのは測定から明らかになっていますが、それと同時に下図のように横から見てクランクピンを軸にして回転したズレ方をしていることにも留意しなければなりません。
これもダイアルゲージの針の動きで推察することができます。具体的には、ゲージの値が一番高く出る位置の回転角が、上死点から何度の位置にあるかで判断できます。
つまり、きっちり下死点の位置で両方のゲージの値が最大値になれば、綺麗な『ハの字』であると言えますが、両方、あるいは片方でも下死点からズレていれば、ヒネったような『ノヽの字』になっていることになるのです。

この辺を見極めるのが重要。

ただし、それを把握したところで、『どうやって修正』するかは、また別の話になるわけですが・・・




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by tm144en | 2025-10-04 00:07 | bimota 500-Vdue | Comments(0)

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