【500-Vdue】(第27話:ハイパーパイオリ大作戦①)<第6章:サスペンション>〜目覚めよ!冥界の支配者〜

『ハイパーパイオリ大作戦』



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と銘打った今回の改造。
最初に行うのは、シムホルダーの軽量化。

パイオリとオーリンズを比較し、減衰力システムこそ同じ形式を取っていても、その製品精度や材質の面でオーリンズには1歩2歩・・・いや3歩及んでいません。

それって悔しいじゃぁないですか。

このパイオリはおそらく、ビモータ専用に開発されたものと推察します。SB6やSB7などと(セッティングは違いますが)構成パーツは共用になっていますし、なによりケースにビモータのマークが入っています、
なので、おいそれとオーリンズに交換・・・などという気持ちにはなれません。システム的には高度な制御がされているのですから、あとは精度と材質を見直せばオーリンズに迫る性能を発揮できるハズ。

それに挑戦することに、意味があると思っています。

とはいえ、まだ乗ったことのないフォークの中身をいきなり変えてしまったら、良くなったのか悪くなったのか。はたまた何も変わっていないのかおのののかの判断が出来ません。

ですが、私の考えているところは「こうした方が良いに決まってんじゃん!」という改造なので、設計や製作に問題さえ無ければ改善されることは必至。

なぜなら、そう。オーリンズを丸パクリするのですから(笑



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姫のオーリンズに使用されているシムホルダーはアルミ製でした。寸法的有意差はありませんので、パイオリのサイズをそのままアルミに置き換えても強度的に問題はないハズ。

フロントフォークは頻繁に上下動しますので、その軽量化の意義は大きいと言えます。それは単なるバネ下重量軽減という恩恵にとどまらず、フォークの働きが研ぎ澄まされるハズであると考えています。

そう。まるでオーリンズの様に・・・




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前置きはこれくらいにして、早速作っていきましょう!

『ハイパーパイオリ大作戦』

始動!



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材料はA7075。まずはボトム側の大きい方から作っていきます。

必要分の長さにカットしたものの片側を一皮剥き、




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向きを変えて芯を出します。メモリ読みで5/1000。




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まず削るのは『豚っ鼻』の側面。レンチを作って引っ掛けたあの部分です。
今回のワークも向き替えが必要になるので、アタッチメントに繋ぎやすいこちら側を先に作るという段取りです。

必要な外径に削ったら、




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ネジを切ります。

そしたらここから中心に貫通穴を空けるのですが、ここが今回の大きな課題。



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シムホルダーの中心には、この様にφ3.5mmほどの貫通穴が空いているのですが、




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試しに3.5mmのドリルを差し込んでみると、途中で引っかかってしまいます。




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反対側からも同様。ちょうど真ん中らへんで引っかかってしまいます。


これはどういうことか?



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手持ちのドリルでは正確に把握出来なかったので、ホームセンターで急遽調達。今回の中心穴以外にもフルードの通路はあるので、その分も合わせて0.1mm単位で用意しました。






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新しいドリルで改めて測定してみると、真実が判りました。

画像右側からはφ3.5mm、左側からはφ3.6mmの穴であることが判明。つまり、両端で径の違う穴が空けられていたのです。


「そんな複雑な減衰力通路になっていたのか!」


初めはそう感じました。しかし、真実はもっと『下の方』にあります。




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通路の中を拡大して観察すると、ちょうどドリルが引っかかったポイントに段差があることが確認出来ます。この画像はφ3.6mm側から覗いたもので、




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φ3.5mm側から覗くと、段差は確認出来ません。







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図にするとこういう状態になります。

「なぜか?」

おそらくこれは、『向き替えの精度に保険をかけた結果』であると考えられます。このパーツは長さが65mmほどあり、3.5mmのドリルで反対側まで貫通させることは非常に困難。刃長が70mm以上ある3.5mmのドリルというものもこの世の中にはあるかもしれませんが、あまり一般的ではありません。

このシムホルダーはパイオリ社が作ったのか、外注したのかは判りませんが、その製作工場にはそういったドリルが無かったのでしょう。

なのでその場合、片側から真ん中ら辺まで穴を空け、ワークの向きを変えて反対側からも穴を空けることで貫通させる段取りしかありません。
しかしその方法をとると、『向き変え』をして芯がズレた場合、中心が僅かにすぼまる格好になってしまいます。




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減衰力として必要な通路の径をφ3.5mmとした場合、上述の段取りで加工すると芯のズレた分φ3.5mmよりも狭い通路が出来上がってしまうのです。

それを避けるためには、向き替えした時の芯ズレをせめて1/100mm以下。出来ればゼロにする必要があるのですが、その行為には時間がかかりますのでそのままコストとしてパーツ単価に上乗せされます。

したがって、そういったコスト上昇をおさえつつ、φ3.5mmの通路幅を確保するための『打開策』として、反対側からはφ3.6mmの穴にすることで、芯ズレの分を吸収させようというのが魂胆ではなかろうかと推察します。

フルードの通路に『敢えて段差を作る優位性』があるとは考えにくいので、『ご都合主義』と捉える方が自然だと言えるでしょう。


「なんという逃げの姿勢!」


オーリンズがどうなっているかは判りませんが、少なくともパイオリはかなりコストダウンを意識した造りになっていることは、あらゆる観点で間違いないと言えます。

フルードの通路にこの段差があることで、必要の無い渦が発生して減衰力に影響を与えることは容易に想像できます。それはおそらくごく僅かな違いで、ライダーが感じ取ることは出来ないレベルのものかもしれません。
しかし、いつも書いてますが、

「変化が判らないことはやらない」

のではなく、

「変化が判らなくとも、『やった』という事実に重きを置く」

というスタンスがだいちゃんガレージ流ですので、今回軽量化を発端にはしましたが、段差の無い貫通穴加工も『ハイパーパイオリ大作戦』において重要となります。



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というわけで中心穴加工。今回のように小径で深い中心穴加工をする場合、旋盤の精度が極めて重要になります。主軸と芯押し台の中心がしっかり揃っていないと、ドリルが奥に進むにつれ徐々に偏心してしまうからです。そうなったらもうオシマイ。

大径のドリルなら、ドリル自体の剛性で偏心しているものを無理やり広げて削ることも可能な場合もありますが、φ3.5mmクラスだとそういったことは期待できません。それに、その場合はドリル径以上の穴が空いていることになるので、加工精度としては低レベルとなってしまいます。



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また、『中折れ』のリスクも高まります。接触面積が増えるにつれドリルにかかる負荷も上がるので、ちょっとしたことであっさりポッキリ折れてしまいます。
経験的に、安心できるのは4mm以上かなぁといったところ。

なので、中折れさせないためには適宜ドリルを引っ張り出してキリコを排出させ、切削油を潤沢に送り込むことが重要。しかし、切削途中でドリルを一旦引っ込めると、削り途中の『段差』が残っている場合があり、次に刃先を当てた時にそこに引っかかって折れるということもあります。それを防ぐには、引っこ抜く時にすぐにハンドルを回さず、少し同じ場所で止めておくことで段差を無くすことが出来ます。

こういう一つ一つが『経験』ですね。



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無事中心穴を空け、こちら側の加工は一旦終了。




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ここまでの工程で、もう一個の方も削ってしまいます。



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はい、出来ました☆




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そしたら反対側を加工する前に、先に『豚っ鼻』加工の方をやっておくことにします。フライス盤で加工する時に3つ爪チャックで固定する都合上、反対側の加工前に行った方がチャッキングしやすいからですね。


次回に続く〜






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by tm144en | 2025-09-12 02:14 | bimota 500-Vdue | Comments(0)

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by だいちゃん