【500-Vdue】(第25話:トップキャップ製作④)<第6章:サスペンション>〜目覚めよ!冥界の支配者〜
2025年 09月 10日

ことの発端はこれ。トップキャップに減衰力アジャスターがねじ込まれる構造になっているのですが、ここを強く締め過ぎてネジ山が潰れていたんですよね。
上の画像ではトップキャップとアジャスターの境目にネジ山が見えていませんが、

本来であればここには2山ほど残る構造になっています。最初に組み付けした作業者が「あれ?山残ってんな!?まだ締め込むのか!」と勘違いして無理に締め込んだ結果、


ものの見事に2山分ネジが潰れてしまったというわけ。
したがって、このアジャスターはダンパーロッドと連結されますので、左右で位置が2mmズレていたことになります。ネジ山の潰れていた方が2mmダンパーロッドが短い格好。
ダンパーロッドはトップキャップと接続され、インナーチューブに固定される格好になりますので、組み付け時にはフォーク長が2mm短くなります。
「それは大問題では!?」
つまり、フォークをクランプに差し込んで固定する際、フォークの突き出し量を左右で揃えると、アクスルの位置が左右で2mm違ってしまうということになるのです。

だとしても、アクスルでしっかり締め込んでしまえば、ダンパーカートリッジ内にあるこの上限スプリングが常に押し潰される格好になるので、無理矢理ですが左右長は揃えられることになります。なので、機関的にどこかが損傷するということにはなりません。

しかし、左右で違う高さのアクスルクランプの軸を、アクスルシャフトの締め込みで無理矢理揃えているというのは、あるべき姿とは言えません。
以前も書きましたが、ファンキーさんが乗っていた時、このアクスルクランプが走行中に緩んで脱輪したということがあったそうです。それを受けてワイヤリングなどの補助対策を行ったそうですが、根本原因は『左右自由長の違い』にあったのではないかと推察します。
左右で位置の違うアクスルクランプの軸を、無理矢理クランプの締め込みで揃えているのですから、斜めの力が悪さしてクランプを緩める原因になったのではないかと考えられます。
通常のアクスルクランプを採用していれば、仮にズレが原因でボルトが緩んだとしても、即座に脱輪することはありませんし、そもそもアクスルシャフトの差し込み時に気がつくハズ。
しかしdueのこのパイオリはクイックリリースタイプを採用していたので、2mmの誤差には気づけなかったと言えるでしょう。
以前どこかで(多分Xで)見たのですが、「フォークの突き出し量を左右で揃えると、アクスルの軸が揃わないから、アクスルの軸を優先して合わせるべきである」というのがありました。一理あるのですが、フォークの構成パーツは左右で基本的に同じ(一部違うものもありますが)ですので、そのパーツ単体の製品精度に問題が無ければ、フォーク自由長は必然的に左右揃うのが当たり前。
なので、もしアクスルの位置がズレるのであれば、フォークの突き出しで調節するのではなく、内部構造を見直すべきなんですよね。製品公差の『ハズレ』を引いていたり、今回の様な組み付けミスなどで自由長に違いがあったのであれば、その根本原因を解決させることが本当の意味での『整備』と言えるからです。
話ついでにもう一つ例を出すと、以前DB7姫でオリフィスの先端が押し付けられて通路が潰れていたということがありました。

DB7姫のフロントオーリンズ。当初から動きがおかしいおかしいと思っていて、いざ分解してみると片方のオリフィスが穴に刺さって先端が変形していたのです。
その原因は特定出来ていませんが、組み付け時のミスか、設計のミスか、はたまた誰かのイタズラか。いずれにせよ、オリフィスの通路が詰まるとダンパーの効きがおかしくなりますので、十分気をつけなければいけないポイントとなります。
ーーーー今回の件に関しては、ビーモタ社ではなくパイオリ社、あるいはパイオリが外注した組み立て業社の落ち度である可能性が高いと考えられます。設計上2山多くしたことに起因し、アルミのネジ山に必要以上のトルクをかけた作業者のセンスには、問題があると言わざるを得ません。
フルードの汚れ具合から察するに、おそらくファンキーさんはO/Hしてなかったと思いますので、ここは触っていないハズ。
2山多いネジ山に関しては、単純に『余裕を持たせた』ということでしょう。ここをギリギリの設計にしてしまうと、奥の座面に当たる前にネジ山で締め込みがキツくなってしまう危険性があるからです。
当初はそのセッティング幅の緻密さがオーリンズに匹敵するとまで賞賛しましたが、1ヶ月ほど触ってきてこのパイオリの『アラ』を数々見てきたことで「あ、たいしたことねーな」というのが現在の印象。
設計思想は素晴らしくとも、それを最後まで完璧に形にすることがやはり大事ですね。
これは『人の振り見て我が振り直せ』と言いますか、私自身趣味の金属加工を通じて狙った形を作り出すことの難しさを嫌というほど痛感しているので、パイオリを非難するつもりは毛頭ありません。
「難しいよねー解る解る〜♪」という気持ちです。
まぁ、一流メーカーが素人にそのように思われることにプライドが無いのであれば・・・(笑

さて、それでは本題。
残す作業は六角とプリロードアジャスターの3つ穴加工。六角は造作もありませんが、この3つ穴は慎重にやらないと失敗しそうですね。

アジャスターの締め込み量で、この3つ穴から出る『足』の長さを調節。これがスプリングを押す構造になっているので、それでプリロードを調節すると。

この方式は、ムルチのマルゾッキと同じですね。

オーリンズはこういった構造になっていて、トップキャップからカメラのレンズのように筒ごと伸びてスプリングを押しています。か細いロッド3本のと比べると、オーリンズのこの構造の方が剛性が高そうだなぁという印象ですが、トップキャップの設計がその分複雑になるのでコストが嵩むのは明らか。
こういうところがオーリンズたる所以・・・
で・す・が
このオーリンズも、分解したらアチコチいい加減な組み立てになっていましたけども(笑)。
海外製品って、設計思想は良くてもそれを製造したり組み立てたりする能力が追いついてないものが多いですね。
だ・か・ら
買ったばかりの新車でも、乗る前に一旦全部バラバラにする必要があるのです。

3つ穴の位置に関しては、正三角形の頂点の位置であることはすぐ分かりますが、その寸法の測定に難儀します。
リングの外径よりも、

ピンの位置が僅かに内側に入っているので、この位置で外径をとり、そこからピンの直径の値を引いた長さが正三角形の頂点を結んだ円周の線となります。

こういう位置関係。

六角の削り量、及び3つ穴の位置関係を把握したら、段取りを開始。

ミーリングテーブルの上にターンブルを置き、その上に3つ爪チャックを改造したものを置いて固定。チャックの芯を合わせたらワークをチャッキングしてさらに芯出しします。

こういう作業をする時、うちのフライス盤では上下間が狭くなってしまうので、以前考えた支柱の『ゲタ』対策をやりたいなーと思ってはいるんですけど、なかなか踏ん切りが付きませんね。大抵がどうにかなってしまうので、どうしても必要になったらその時やります。
というわけで次回は六角加工から!
(アレ?前回の締めも同じこと言ってたような・・・・)
by tm144en
| 2025-09-10 00:07
| bimota 500-Vdue
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