【500-Vdue】(第18話:クランクケース①)<第4章:分解>〜目覚めよ!冥界の支配者〜

今回のdue物語を、章立てにしてなおかつ時系列で並べていくことが、現実の作業進捗状況との兼ね合いでいよいよ難しくなってきてしまいました。

なので、『物語』という体裁は取りつつも、法律の条文のように過去の章にも加筆修正していく方針とすることにしました。まぁ、読んで頂いてる方にとってはどーでもいーことだとは思いますが、私自身の納得のためにこの場で一応のご報告とさせていただきます。

というわけで、ここ最近は<第5章:測定>編をお送りしていましたが、今回は1章戻って<第4章:分解>編の加筆となります。






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事の発端は、割るつもりのなかったクランクケースに手を出す必要が出たから。軽い気持ちで1次圧縮容積の測定をしたら、クランクシャフトの芯振れが看過出来なかったことにあります。

クランクの芯出し。やはりこれからは逃れられないわけで・・・

正直、2スト500ccのモンスターマシンなので、クランクの芯出しまでして高回転回そうなどとは1ミリも考えていませんでした。というか、そんな必要はさらさら無い。

ですが、「振動が酷かった」という証言もありましたし、実際に目で見てシャフト先端で0.2mmも振れているのを目の当たりにしたら、もう気持ち悪くてしょーがない!

さらに言えば、ケース座面の『ナナメ』を面研で修正するのであれば、いずれにせよコンロッドを抜き取らないと出来ませんからケースを割る必要が出てきます。なので、逃れられない運命だったと。

とはいえ、「ケース割る、ケース割る」と簡単に言ってますが、以前も書きましたがそう簡単なことではありません。クランクケースを割る時は、専用ツールでクランクシャフトを押す必要があるのですが、dueは2軸クランク。つまり、2軸を同時に押し込まなければいけないのです。

市販の多くのバイクは1軸クランクですので、専用ツールも1軸用のものしかありません。1軸のものを2個使えば出来なくはないとは思いますが、一人で作業することを考えると、2個のツールを同時に使用することはちょっと安定性に欠けます。

クランクケースはクランクシャフトの取り付け角度など精度が非常に重要となります。それでいて軽量なアルミで作られているので、無理な力をかけるとその方向にケースが塑性変形してしまいます。アルミにはバネのような『弾性変形』という特性がありませんので、応力によって歪んだものは、もう元に戻らなくなってしまうのです。

したがって、真っ直ぐ圧入されているクランクシャフトやベアリングに対し、真っ直ぐの力をかけることは極めて重要。

ただし厄介なものがあります。それは『ノックピン』の存在。ケースの合わせ精度を高めるために、ノックピンで位置決めがされているのですが、それも圧入されているんですよね。なので、クランクシャフトの部分だけをツールで引き抜こうとしても、ノックピンの所で引っかかってケースが斜めに引き抜かれてしまうことがあるのです。

そういったことにも対処し、理想的なケース分割を行うためには、やはり自作の『ジグ』が必要。


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ツールの概要はこんな感じ。ケース全体を覆う頑丈なプレートに、クランクシャフトを押しつけるための太いボルトと、ケースを引っ張り上げるためのボルトを既存のネジ穴を利用して取り付けます。





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なので、まずはそのボルトの正確な位置関係を把握するために、エンジンを真正面から撮影。なるべく被写体とカメラ(センサー)が平行になるよう配置し、高さも被写体の中心に合わせます。
しかし、基本的に写真というのは光を歪ませてセンサーに取り込んでいますので、厳密な寸法判断に使用するのは向いていません。しかし、他に手段が無いのでこの方法を取ることに。

光の歪みを出来るだけ緩やかにするためには、

●被写体との撮影距離を出来るだけ離す
●出来るだけセンサーサイズの大きいもので撮る
●歪みの少ないレンズを使用する

この3点が需要となります。

今回はセンサーサイズと撮影距離に妥協が必要でしたが、クランクを押す位置だけ実測で合わせれば、それ以外のボルトを通す穴径に多少余裕を持たせることで誤差は問題はないだろうと判断しました。



それで撮影した画像がこちら。



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エンジンに定規を貼り付けておき、プリントアウトする際の参考にします。pc上で100%とされているサイズでプリントしても、1mmとかズレていたので、この定規で実寸を合わせるのは重要でしたね。




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そしてプリントアウトしたものがこちら。エンジンの反対側は一応必要無い想定でいますが、念のため用意だけはしておきました。
エンジンのサイズがA3を超えてしまったので、2枚合わせにしています。




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まずはその2枚の位置をきっちり合わせてテープで貼り合わせます。




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そしたら、パーツリストでノックピンの位置を確認し、使用するネジ穴の選定を行います。引っ張り上げるボルトは多いに越したことはありませんが、それだけ加工も大変になりますし、不必要な位置で繋げておく意味はありませんからね。




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そして一番肝心なクランクシャフトを押す位置は、オフセット出来るピッチゲージで測定して精密な位置を割り出します。このピッチノギスは、使用頻度こそ少ないですが、ここぞという時に唯一無二の存在感を出してきますね。中華製ですが素晴らしい!




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そしてその測定結果を元に穴位置を合わせます。やっぱ微妙にズレてますね。



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ボルトをつなげる位置は全部で17箇所。クランクベアリング周辺の他に、ノックピンが3箇所あるので、バランスの良い位置に取り付けます。

しかし、そのうちの2箇所はエンジンの既存のボルト位置で掴めないところがあるので、補助ステーをつけてボルトを通すことにします。



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この赤丸の位置にノックピンが入っているので、バランス良く引っ張り上げるためには青丸の位置にボルトが必要になるんですよね。

スロットルボディとシリンダーを固定する座面にネジ穴が空けられているので、そこを利用してL字のステーを取り付けることにします。






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下書きの用意が出来たら材料を購入。ツールのメインとなるプレートは、ホームセンターに置いてる4.5mmの鋼板にしました。

このプレートは剛性が重要な課題でしたので、最初は15mm厚のものを用意するつもりでいました。しかし、作業したいタイミングに間に合わなかったので、「鋼板でやってみよう!」と思い付き、今回はこちらを用意しました。

ただ、結論から申し上げると、鋼板に変更して大正解でした。15mm厚のプレートで作ろうとしていたら、おそらくボルトを通す穴空け作業でとんでもない苦労を強いられていたはずです。4.5mm厚ですらなかなか大変な作業でしたからね。

というのも、サイズが大きいのでボール盤使えませんから、すべてハンドドリルで加工しなければなりません。それでいて15mm厚のプレートに19箇所の穴を空けるなんて、今思うとゾッとします。
しかも、鋼板はSS400のものだと思いますが、最初に用意しようと思っていたのはS50Cでしたからね。鋼板に加工するだけでもハンドドリルが熱くて持てなくなることが度々ありましたから、S50Cなら多分ハンドドリル壊れたでしょうね笑



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というわけで、下書きしたものを元に鋼板に穴位置をポンチッチ。

クランクケースを割るためのツール製作の火蓋が切って落とされました。

果たしてうまくいくのでしょうか!?





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by tm144en | 2025-07-23 00:05 | bimota 500-Vdue | Comments(0)

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by だいちゃん