【500-Vdue】(第7話:1次圧縮容積⑤)<第5章:測定>〜目覚めよ!冥界の支配者〜

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前回作った座面測定ツール。これで早速測定していきます。


測れば測るほど、沼に沈んでいくとも知らずに・・・




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さて、測定の前に少し気になることが。シリンダー座面の表面仕上げに『ムラ』が見て取れます。



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おそらく、面切削を行う上で1/100mm単位で微調整した切削痕だと思われます。削れてる部分とそうで無い部分とで模様が分かれています。



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それと、多分使用されたフェイスミルの径が小さかったんじゃないでしょうか?座面の範囲を1回では削れず、往復で削った時の痕に見えます。
それに、切削の『目』の向きも変わっているので、切削方向が変わっているのは間違いありません。


「なんで判るの?」


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そりゃ、もう、以前自分で面研やったからですね。この時は1面を3往復で削っているので、筋が2つ残っています。おそらく、これとおなじ現象ではないでしょうか。
勿論、シロウトの面研とは比になりませんが、とはいえちゃんとした機械で削ったのならもっと綺麗にならない?というのが率直な感想。

まぁ、このくらいの仕上がりでエンジンとしていイケちゃうのなら、私の面研でもイケちゃうってか?笑



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さて本題。座面からウェブまでの距離を測定します。
測定にあたっては、座面にプレートを押し当てた状態でダイアルゲージの先をウェブの上で滑らせ、針が一番進んだ所の高さを読み取ります。



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深さを測定するだけならそのメモリを読むだけで良いですが、今回はウェブの回転精度も見るのでプレートをステーで固定します。




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そしたら、クランクをゆっくり回転。



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するとどうでしょう。概ね振れ幅が0.09mmもあることが判明!

ま〜じ〜で〜!?!?!?



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ただし、これはウェブの『芯』が振れているというよりは、面精度に因る可能性が高そうです。針の動きがな〜んかアヤシイ。

ただ、適当に回して測定しただけではイメージが付かないので、




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こんなものを作りました。アルミの薄板から切り出した、簡易的なクランク角測定器。これで区切って詳細に測定してみます。






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結果はご覧の通り。下クランクの両端ウェブを測定してみたのですが、やはり数値の流れが一定ではありません。




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ウェブがピンに対して図のようにズレていた場合、数値はなだらかなに最大値と最小値を往復することになります。なので、今回の測定結果だけで見れば、少なくともウェブの面精度が低いことは間違いありません。
ウェブは内側に閉じたり、外側に開いたりもしますが、その場合でも基本的にゲージは一定の動きをするハズ。

ただし、面精度が原因だからといって、芯がズレていないことの証明にはなりません。『芯も』ズレている可能性は十分あります。

長期保管によってウェブの表面にはやや腐食のようなものが発生していましたし、そもそもの加工精度の問題もあるでしょう。いずれにせよ、この方法では原因が2次方程式のように多層になっているので、片方の原因を潰さないことには真実を見極めることは出来ません。

そう、つまり


『ケースを割る』


しかないわけで・・・


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・・・さて、その件は一旦置いておくとして、シリンダー座面からの『深さ』を比較するにあたり、クランウェブを目安にするには芯がズレていないことが前提になってしまいます。なので、これでは厳密な測定は出来ませんが、少なくとも上死点で合わせればその影響は軽微になると判断。

それで比較してみると、下クランクゼロとして上クランクを測定すると、なんと-0.07mmという値が。つまり、上クランクの方が0.07mm深くなっていると考えられます。

たった0.07mm?

されど0.07mm??

この結果を受けて、シリンダー座面の面研時、上下クランクで切削量が0.07mm揃っていなかったのではないか?という仮説が成り立ちます。
また、容積以外にも根拠はあります。



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下クランクの掃気ポート部に、ピストンスカートが当たった痕跡があるのです。つまり、上クランクの方がシリンダー座面としては正解で、削りすぎた下クランクの方がピストンが当たってしまったという可能性。

ただし座面の高さには問題は無く、掃気ポートが『モッコリ』してるだけ、という可能性もあるので一概には言えません。

なので、それを検証するために、



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浅い方の下クランク0.07mm分かさ増しして、それが30cc相当に当たるかを測定してみることに。

0.07mm座面を上げる方法に関しては、紙を使うことにしました。ただし、普通紙は0.09mmで0.02mm厚いですが、まぁ割合で考えれば傾向は判断できるハズ。




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というわけで早速、予備のガスケットから型を取り、文字通り『紙ガスケット』を作ります。




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紙ガス完成☆



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シリンダーにただ乗せただけでは隙間からオイルが流れてしまうので、薄くグリスを塗ってしっかり貼り付けるようにします。




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いやいやいや笑

こんなうっすい紙1枚貼り付けて、容積が30ccも変わるってか?




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もろもろの準備を整え、いざ測定!





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いやいやいや。0.09mm侮るべからず。結構いきますね。




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測定結果はこの通り。スタートを500.00gではなく520.00gにしているので、注いだ容量は450.53gとなります。

ただ、測定日の気温が24℃となってしまい、前回の測定から4℃上昇してしまったのですが、それによる体積膨張分を重さに換算するとコンマ以下の変化でしかないので、今回は一旦無視。

以上の内容を踏まえて計算すると、

上クランク容量→455.56g

下クランク+0.09mm容量→450.53g

差→5.03g(上クランク容量が多い)

という結果となりました。


おぉ〜!

まずは、0.07mmが満更でもないという点。
これに、クランクウェブ部の分を引くと4g程度となりますので、ここまでくるとかなり上下で肉薄してきます。


つまり結論としては、掃気ポートに傷が付き、座面が低いと思われる下クランクだけ、ベースガスケットを0.09mm厚くすることで、1次圧縮容積がそろ・・・


ちょっとまった〜〜〜!!

スキッシュは?

ベースガスケットの厚みを上下で揃えない場合、スキッシュエリアの値が揃わないことになってしまいます。シリンダーの長さが同じだとすると。
つまり、1次圧縮揃えたい一心で、スキッシュエリアが不揃いになっては本末転倒甚だしい。1次圧縮よりもスキッシュエリアによる影響の方が過大と言えます。

ただ、こうも考えられます。座面が下クランクの方が低いのを知らずに、同じベースガスケットで組まれていたのですから、スキッシュもそもそも揃っていなかった、という可能性は非常に高いと言えます。

したがって、2つのシリンダーにおいて、1次圧縮も、スキッシュも揃ってなかった→だから調子悪い、ということが考えられます。
であるならば、ベースガスケットを0.09mm厚くすることで、全てが揃い、全てが解決する・・・という未来も見えてきます。

駄菓子菓子。

それはあくまで今回の測定結果に問題がなければという前提が必要。

というのも、やはり不確実なクランクウェブを基準にしたのでは、測定結果の信頼性も低いと言わざるを得ません。なので、測定するなら、『座面〜クランクシャフト』間での値で判断する必要があるのです。この値であれば、仮にクランクシャフトの芯が合っていなくとも、クランクシャフトの軸に対しての座面との距離として判断できるからです。


というわけで、容積測定編はまだまだ続くのであった・・・・




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by tm144en | 2025-07-12 00:08 | bimota 500-Vdue | Comments(0)

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