【500-Vdue】(第3話:1次圧縮容積①)<第5章:測定>〜目覚めよ!冥界の支配者〜

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さて、ピストンクリアランスの方がフワッとした内容になってしまいましたが、次に取り掛かるのは1次圧縮室の容積測定。
2ストロークエンジンは、『1次圧縮』『2次圧縮』と圧縮工程が2回あるのが特徴です。

というわけでまずは、2ストロークエンジンのおさらいから。




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①圧縮・吸気

シリンダー内でピストンの上昇により混合気が圧縮されている段階。ピストンより下の空間には不圧が生じるので、吸気ポートにあるリードバルブの『羽』が開き、そこから新気が導入されます。クランクケースリードバルブの場合、クランクケース内に直接導入される形になります。





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②燃焼・1次圧縮

圧縮された混合気にスパークプラグで点火。燃焼反応が起こり、混合気が膨張。それによりピストンを押し下げます。
その瞬間(上死点直後)リードバルブの羽が閉じ、ピストン下の空間が密閉。ピストンの下降によって導入された新気が圧縮されます。これが1次圧縮。




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③排気

膨張した燃焼ガスは、排気ポートの開口によって一気に排出され、シリンダー内の気圧はほぼ1気圧に戻ります。この点が重要で、膨張圧力が『一気に抜ける』のにつられて燃焼ガスが排出されるのです。ブレーキフルード交換でレバーを握った状態でブリーザーを開き、「ブシュ」と排出させる、まさにあんな感じ。

ピストンの上昇で燃焼ガスが押し出されるイメージがありますが、実際は膨張した分の体積は排気ポートが開いた瞬間にほとんどが排出されます。
つまり、1気圧でシリンダー容積分の10の混合気だったものが燃焼による膨張で100になったとすると、その圧力が抜けた瞬間90が出ていって最初の体積の10が残るといったイメージ。
これは4ストも同じで、排気バルブが開いた瞬間に膨張した分の燃焼ガスはほとんど排出されます。そしてピストンが下死点から上昇する過程で1気圧に戻ったシリンダー内の燃焼ガスの『残り』を完全に排出する工程となるのです。

4ストの場合はバルブで出入り口を管理していますが、2ストの場合はそうはいきません。なので、4ストのこの工程を2ストでは次の工程で行います。



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④掃気

ピストンの下降で掃気ポートが開いた瞬間。1次圧縮によって高められた圧力が一気に解放され、勢いよく新気がシリンダー内に送り込まれます。この時、1気圧だったシリンダー内に残っていた燃焼ガスを、この新気で押し出すのが重要な役割となります。

仮にこれをピストンの上昇で排気させるとした場合、ピストンの上昇で排気ポートが閉じた段階で掃気ポートから吸気されるようなレイアウトにしなければなりませんが、それは不可能。2ストロークでは完結しなくなってしまいます。




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⑤混合気押し戻し

1次圧縮の効果で効率的に燃焼ガスを排出させたまではよかったのですが、混合気の一部もそのままつられて排出されてしまいます。そこで、チャンバーによる効果で排出された混合気を押し戻すという工程があります。
とはいえその効果は100%では無いので、未燃焼ガスの一部はそのまま大気に排出されてしまいます。それが2ストロークエンジンの課題であり、宿命。

そのことに挑戦したのが、他ならぬ『bimota500-Vdue』でした。

通常はリードバルブから導入される時点(①)で『混合気』としますが、dueのエンジンでは『空気』だけを導入。
そしておそらくピストン下死点後、掃気ポートを塞ぐタイミングあたりでシリンダー内に直接ガソリンを噴射することで、未燃焼ガスの排出を極限にまで抑えることに成功・・・したのかどうなのか?

その点に関しての検証はまだだいぶ先の話になります。

まず今回行うのは、この1次圧縮室の容積が、2つのクランクで揃っているかを検証する作業を行うことにします。
1次圧縮室の容積に違いがあると、ピストン降下時の圧縮率に影響を与えます。容積が大きい方が圧縮が少ないことになり、それによってシリンダー内に送り込まれる時の勢いが弱くなります。

なので、2つのシリンダーの働きを揃える上では、1次圧縮室容積も重要であると考えました。




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それでは実際に容積測定を行う前に、クランクケースを逆さまにしてクランク室内に溜まっているオイルをしっかり排出させておきます。




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ポタポタっと結構出てきますね。
基本的にクランク室側は、燃焼室とはピストンリングによって隔離されていますので、燃焼における『スス』が混ざることは無い・・・・と思うのですが、オイルはまぁまぁ真っ黒になっています。

tmはどうだったかなぁ〜・・・

もしかすると吹き抜け、あるいは他の何かしらの原因があるのかもしれません。




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逆さま状態でしっかり抜け切ったのを確認したら、今度はシリンダーとの座面X-Y軸共に水平をしっかり出しておきます。




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容積測定には2ストのオイルを使用することにしました。灯油の方が浸透性や表面張力の面で測定に向いているのですが、さすがにコンロッドベアリングを灯油で浸してしまうのには抵抗があるので、今回はオイルで行うことにします。

ちなみにオイルはtmの分離給油で指定だったバーダルのKTSを使用。ミト用に買っておいたものでしたが、dueにもこれを使おうと考えているので、測定にも使用することにします。以前は入手困難な商品でしたが、今はこれAmazonでも購入出来るようになっているので便利になりました。


(余談:2スト用オイル)

dueはオイルポンプを使用した分離給油方式となっていますが、ガソリンに混合させる構造にはなっていません。

通常の分離給油のエンジンは、オイルポンプがキャブレターやスロットルボディに接続され、そこでガソリンと瞬間的に混合させるという構造になっています。そのため、分離用オイルはガソリンに対する『分散性』が重要。

混合専用の2ストオイルは分散性に劣るので、給油前に他の容器でガソリンにしっかり混ぜておく必要があります。なので、混合用オイルを分離給油として使うことは出来ません。
その代わり、おそらくですが究極的な局面での潤滑性には優れているのだと考えられます。分散性と潤滑性が相反する関係にないのであれば、レース用の混合オイルもわざわざ混ざりにくい性質にする必要はありませんからね。あれ、混ぜるの結構大変なんですよね。

よく混合のマシンを自走で給油する時に、タンクに入れて車体を揺らして混ぜる・・・なんてシーンがありますが、混合専用オイルだとなかなか撹拌しないので、沈澱したオイルで走行直後にカブってしまうことがあります。

なので私の場合は、tmに乗る時は携行缶の中にガソリンとオイルを入れておき、そのまま山に着くまで入れっぱなしにしておきます。移動の間の振動でしっかり攪拌させておくためです。
そして、山に着いてからタンクに給油するようにしています。

ガソリンと攪拌させる行為も、勢いよく振ったらダメなんですよね。レースをやってた友人から、小さいドラム缶に入れてコロコロ転がして混ぜるという話を聞いたことがあります。

話を戻すと、要するにdueには『混合用』と『分離用』のオイルどっちを使用するべきか?という点を考えなければなりません。
dueのオイルポンプは、コンロッドベアリングとシリンダー壁面に吐出させる構造になっています。つまり、ガソリンに混ぜてはいないのです。それもそのはず。ガソリンは燃焼室直噴なので、混ぜたところで潤滑経路を通っていませんからね。

であるならば、潤滑性の高い混合用オイルを使用するべきなのではないか?と考えられます。

しかし、潤滑されたオイルはやがて滴り、1次圧縮の圧力でシリンダー内に送り込まれ、燃焼して排出されます。なので、ある程度ガソリンに対しての分散性が確保されていないと、燃焼に影響を与えてしまうのではないか?とも考えられます。
実際dueを分解した際、チャンバーやエキゾースト部からはかなりのオイルが出てきました。2ストだから当たり前といえば当たり前ですが、走行時間の割には多過ぎるような感じがしました。

ファンキーさんがどんなオイルを使用していたかは判りませんが、dueの2ストオイル問題。これも重要な課題と言えます。



というわけで、話が長くなってしまったので、測定は次回に繰り越します笑







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by tm144en | 2025-07-08 00:05 | bimota 500-Vdue | Comments(0)

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