バルバの法則体感実験

前回の記事で少し触れました『バルバの法則』について、今回はそれを体感してみるために実験を行ってみましたので、そのレポートをまとめます。


『バルバの法則』とは、誤解をおそれず簡単に表すと、金属の引っ張り強さを試験する際にその試験片の形状や寸法に関わらず、伸び率は一定であるというもの。伸び率は材料固有の値となり、それを『バルバ定数』という。
ただし、材料の調質によっても伸び率は変化する。



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その法則から逆に考えると、先日のクランプボルトの例えで判ることが、ボルトの首下の長さが長い方が、外力に対して伸びる『量』が多くなるのではないか?というものでした。つまり、剛性を高めるなら首下は短く、柔軟性を持たせるなら長くすることで、マシンの特性を変えることが出来ると考えられます。


前回そういった結論に達したので、今回それを実証実験してみることに。




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使用する材料はこちら。

首下長さの異なる、強度区分10.9のSCM435クロームモリブデン鋼のボルト。径はM6。
これを短い方はそのまま長ボルトに、長い方は首下部分にカラー(M8の長ナットをカットして製作)を挟み、ネジ部の長さを揃えてテストします。
これらをそれぞれ2セット用意して同一の実験を2回ずつ行い、公差によるバラツキも確認します。

引っ張り強さを測定する機械はないので、実験では締め付けトルクと回転角で傾向を判断することにします。

締め込み時はネジ部、座面にチキソグリスを塗布し、出来る限りの摩擦を抑制。純粋にボルトの『伸び』に対して締め付けトルクが発生するようにします。(もちろん摩擦ゼロにはなりませんが、チキソグリスであればかなりの摩擦を軽減できます。)




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具体的な測定方法は、100N・mスケールのダイアル式トルクレンチにiPhoneを取り付け、締め付けトルクと回転角の関係を見ていくことに。
測定による値は、作業風景を上空から撮影し、動画で詳細を確認します。

締め付けはボルトが破断するまで回転させます。



以下が実験の結果。

(※実験前のボルト長の測定値を記載した紙をガレージに忘れてきてしまったので、後日追加)


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まず初めに、動画からアナログのトルクレンチの数値を読むのが画質の関係上思ったり難しく、正確に読みとることができませんでした。
したがって、角度の値は正確ですが、締め付けトルクの値は若干正確性に欠けます。

また、長ボルトの方はカラーを挟んでいる関係上、0N・mの範囲が多くなっています。実際の回転角は、感触としては40~50°くらい少ない可能性がありますが、とりあえず今回は実測値をそのまま記載しました。

以上のように、実験の質自体が低かったことは否めないものの、その誤差を上回る違いを確認することは出来ました。

また、それぞれ2回行った実験結果に関しては、ほぼ近似的な値となったので、今回の正確性の低さにおいて公差におけるバラツキは意味がないとし、1回分の結果のみ記載しました。


実験結果は、破断に至るまでに伸びた長さが、長い方は約1.48mm。短い方は約0.9mm。
また、それぞれのトルク値に至るまでの回転角も、短い方が少ない角度で達しました。

ちなみに、ネジピッチはp1.0なので、1回転で1mm伸びることになります。したがって、短い方のボルトで見ると通常の締め付けトルクである10N・mでは役0.11mm伸びていることになります。(ただし、チキソグリスを使用して摩擦係数を抑えているので、違うグリスあるいは無潤滑の場合はこれよりも短くなります。)

手に伝わる感触は、短い方がリニアに感じ、長い方はやや抜けた様な感触として伝わってきました。


また、実験前のボルト長は後日記載しますが、『伸び率』で比較すると両者ともほぼ同じ値となり、これがSCM435の特性、いわゆる『バルバ定数』であることが言えます。


したがって、先日のクランプボルトの首下長の違いによって、外力に対する変化量に違いがあることが証明できたと言えるのではないでしょうか。


また、今回の実験の目的とは違いますが、回転角と締め付けトルクの関係性を表にまとめたことで、一般的な『応力歪み曲線』に合致したことは、体感として面白かった所でもあります。



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今回のボルトの場合、締め付けトルク15N・m付近で降伏点となり、その後針の上がり方が20N・m付近を緩やかに上昇し、25N・mに到達。ここが最大応力の地点となります。
その後は針が上昇することはなく、破断に至りました。

強度区分10.5のボルトは、おおむねオートバイで使用されるボルトがこれに該当し、M6の場合の締め付けトルクは基本的に10N・m。この値は降伏点の約70%となります。


最後に、今回の測定値はあくまで『締め付けトルク』であり、ボルトに発生している『応力』とはまるで質の違うものとなります。しかしながら、今回の実験のように限定的な条件下では、締め付けトルクでも応力との相関関係を見出すには十分であると考えています。




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以上の結果をふまえ、tmがクランプボルトにキャップボルトを採用し、首下長を抑えているコダワリはさすがだな〜・・・

・・・という感想で結ぼうと思ったの








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なんと!チャレンジのクランプと比較すると、チャレンジの方がさらに首下が短いことが判明!



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tmの首下(ネジ部除く)が17mmだったのに対し、チャレンジは11.3mmしかありませんでした。


さらにいえば、



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MITOのクランプはもっと短いときた!


え〜〜〜〜〜っと、・・・ってことは?




むしろ、オフロード性能を考え、逆に首下を長くして衝撃を吸収する方が狙いだったのかもしれません。
また、tmのクランプは削り出しですが、チャレンジとミトは鍛造。強度は密度の高い鍛造の方が高いので、同じ強度を与えるなら削り出しよりも薄く作ることができます。


いやいや、首下長は『結果論』であって、まずクランプありきで寸法が自動的に決まったと考える方が自然ともいえますが・・・

そもそも、ヨーロッパはキャップボルトが主流で、国産は8mmや10mmの六角ボルトが主流なので、単にそれだけの違いともとれ・・・


えっと・・・・



えっと・・・・



えっと・・・・








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by tm144en | 2023-12-12 00:47 | Comments(0)

カメラとバイクとエトセトラ


by だいちゃん