【ITALJET改】チャタリングを改善せよ(構造再構築その14・ベアリングはめ合い実験)
2023年 01月 31日
というわけで実験!!

ハウジングの各サイズにおいて、ベアリングのしめしろがどの程度になるのかを、実際に圧入して検証してみることにします。
→ベアリングのしめしろとは・・・?

ベアリングをハウジングと呼ばれる下穴に圧入することで、ベアリングの『内部すきま』が減少します。この減少の匙加減を調節することを『しめしろ』といいます。
なので、ベアリングサイズと内部すきまの初期値、およびベアリング外径とハウジング内径の差でもって、圧入後の内部すきまの理論値を設定することができるのです。基本的な機械製品は、このようにして設計されています。
内部すきまはベアリングの使用環境で様々に設定され、例えば高回転での使用が想定される場合は内部すきまは広めに設定し、低回転重荷重の場合などは内部隙間を少なく、あるいはマイナスにしたりする場合もあります。
今回の場合、内部すきまの値を緻密に設定するというレベル感の作業は行えないので、最低限『圧入』が確保される。これが絶対条件となります。
使用するニードルベアリングの外径が21.03mmとなっているので、ハウジングの内径は最大でも21.029mm以下に抑えなければなりません。21.03mm以上の径になってしまうと、理論的にはベアリングは「スルッ」と抜け落ちてしまうことになるからです。
ただし、それらはあくまで『理論値』であって、実際の下穴は真円とは言えないので、仮に21.04mmの内径のポイントがあったとしても、21.02mmの内径のポイントがあれば、いわゆる圧入に近い状態にはなると言えます。
私の加工技術、およびイタルジェットに求める性能などを加味し、今回の最低限の仕上がり精度は「スルッと抜け落ちない」といったところになればと考えています。

というわけで前段が長くなりましたが、実験の方を進めてまいります。
試験材料は2017ジュラルミン。

これにまずは20.5mmの穴を空けてみます。
本来であればフライス盤で実験した方が良いのですが、いかんせんアームを垂直ジグに固定してしまったので、一旦外すのが躊躇われたという理由があります。

20.5mmの穴が空きました。

この穴にプレスでベアリングを冷間圧入します。
直径21.03mmのベアリングを、内径20.5mmのハウジングへの圧入なので、プレスにはかなりの力がかかっています。理論的には『入らない』すきまですから無理もありません。

とはいえそこはアルミ。かなり無理矢理でしたがベアリングを全て圧入することはできました。

反対側から覗いてみると、ハウジングがめくれているのが確認できます。圧入というよりはもはや、ベアリングでハウジングを削りながら押し込んでいったという格好になります。
冷間圧入ではなく、焼きばめで行えばめくれは発生しなかった可能性はありますが、そうなるとさらに強いしめしろとなるので、いずれにせよ無理があります。

そして肝心の内輪ですが、全く入らなくなってしまいました。もともと広めの内部すきまとなっていましたが、過度なしめしろを与えたことにより、ベアリングの内径が必要以上に縮まってしまったと言えます。

その後ベアリングをハウジングから取り出し、再度外径を計測してみると、21.03mmあった外径がなんと20.85mmまで縮んでいました。
今回採用したベアリングは『シェル型』と呼ばれる、外輪が薄い鋼板で作られたタイプであったため、過度なしめしろによって変形してしまったと考えられます。もし外輪の剛性が高いソリッド型であれば、あるいは圧入すらできなかった可能性があったかもしれません。
ーーーーーこのことから、やはり20.5mmのドリルでは流石に径が足りないということがわかりました。実際には旋盤とフライス盤の違いはあるものの、その差異を超えたレベルであると考えて良いでしょう。

というわけで、やはり現実的には21mmのドリル。これしか選択肢はありません。
先ほど空けた穴を拡張する形で削っていきます。


まぁイイ感じ
のしめしろになりました。
当然のことながら先ほどのようなキツさはなく、それでいて指で押した程度では全然入っていかない程度に引っかかりがあります。

内輪も問題なく入りますが、やはりちょっとまだ隙間は大きい感じがします。プレスではなくバイスで簡単に圧入できる程度なので、必要な内部すきまは発生していないと言えそうです。
しかしながら「スルッとしない」の及第点は達成できたので、その点はヨシとします。
フライス盤で1/100mm単位での内径加工を施すこと自体は、『ある武器』を入手したことによって不可能ではなくなったのですが、今回の場合アームの固定が一方向にしかできないという制約があるので、どうしてもドリルによる加工しか行うことができないのです。
所詮、イチプライベーターの趣味の範疇ですし、ベアリングのしめしろにまでは足を踏み込んではいけなかったと言えるのかもしれません。
しかしながら偶然と言うべきか、なんとかドリル加工のみで必要最低限のしめしろは確保できたので、今回はこれで加工を行なっていこうと思います。
次回!いよいよ穴を・・・空けるぅ!!
by tm144en
| 2023-01-31 02:43
| ITALJET DRAGSTER200改
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