【MITO125】蘇れ!紅の堕天使〜死と再生の神〜(第42話:エンジン分解⑤)
2021年 07月 30日
クランクシャフトを抜き取ります。
これが、CAGIVA MITOのクランクシャフトだ!
ベアリングも一緒に抜けてきてしまいました。
左はtm125ので、クランクベアリングはケースの方に圧入されています。
どうしてこうなるのか?
ラジアルボールベアリングを使用する上での基本的な取り付け方として、外輪回転荷重の場合はハウジングと外輪、内輪回転荷重の時は内輪と軸を『しまりばめ』とする必要があります。
つまり、ホイールベアリングの場合はハブに圧入、そしてクランクシャフトの場合はクランク軸に圧入するのが基本になるわけです。
また熱膨張の観点でも、クランクベアリングの場合内輪側が膨張するので、軸とのしめしろが緩くなってしまいます。なので、その膨張分も計算にいれたしめしろ値になるよう設計されるのが通常となります。
そしてもう一つ重要な観点があります。それが『自由側軸受』。
クランクシャフトの場合、軸が高温にさらされると熱膨張によって軸方向に『伸びる』現象が起きます。その際、その伸びた分の『逃げ』が必要になるので、対で使用されるベアリングのどちらか一方のはめあいにすきまを与える必要があるのです。
すきまは内輪と軸でも、外輪とハウジングでもどちらでも可能。対で使用されるベアリングには必ずこの『逃げ』が必要であり、このことを『自由側軸受』と言います。
ただクランクシャフトの場合、片方だけにすきまを与えて軸が熱膨張すると、ピストンの中心が自由側軸受の方向にズレてしまうことが考えられます。
なのでtmの場合、両端を自由側軸受にすることで、熱膨張を均等に逃し、ピストンの中心がズレないようにしているのかもしれません。
『かもしれません』
そう。「それって、あなたの感想ですよね」
本当の所は判りません。本などを読み、今の私の想像力の範囲での内容になります。
目の前に突きつけられた現実(今回の場合、クランクベアリングのしまりばめの違い)から、考えうる事象を持てる知識を総動員して想像したに過ぎません。
クランクの表面の仕上げも全然違いますね〜。
tmの方がピカピカしてます。一時圧縮の混合気と常に擦れる状況にあるので、表面はなるべく摩擦の発生しない滑らかな状態であることが望ましいと考えます。
しかしだからと言って、ミトのクランクウェブを鏡面に磨いてしまうとわずかですが体積が減り、1次圧縮率が下がってしまうので安易な加工は避けるべきです。
仮に表面を磨くとするなら、別の場所に肉盛りをして1次圧縮を増やす加工を施す必要がありますが、そうすると正確に1次圧縮を計測しなければならなくなりますし、そんな所までコダワリだしたら本当に一生乗れなくなりそうなので、『ほどほど』にしたほうが良いですね。
いや〜、ベアリングの所まだまだ書き足りないんですが、とりあえず今回はここまで☆
by tm144en
| 2021-07-30 00:03
| CAGIVA MITO125
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