【MITO125】蘇れ!紅の堕天使〜死と再生の神〜(第40話:エンジン分解③)
2021年 07月 28日
mitoのプライマリーギア。
クランクシャフトに繋いでいる、いわば動力伝達のスタート地点に当たるギアになります。つまり超重要。
ですが・・・
あっさり抜き取れました。
tmはここはテーパー状にしており、圧入でしっかりはめ合いの剛性が高められているのですが、カジバはそこまでではなさそうでしたね。
テーパー加工もコストかかりますから、致し方ないでしょう。
当然、半月キーが使われていますから空転するなんてことはありませんが、はめ合い精度や締めしろは剛性に影響しますから、こういった部分もしっかり作られているかどうかはマシンを見る上で重要だと考えます。
隣にある、プラスチックとスパイラルのギアシャフトは、
こちらのオイルポンプを回す為のものです。
2T分離給油の機械式オイルポンプというのは、このようにクランクシャフトの回転力から動力を抜き取る形になるので、エンジンパワーを重視するならやはり混合給油が良いということになります。
新型のインジェクションtmは電磁式オイルポンプを採用しており、クランクから動力を抜き取るようなことはしていないので、分離給油と混合給油のメリットを両取りしているようにもみえますが、ことはそんなに簡単ではありません。
エンジン回転に対して適正なオイル量を正確に吐出するには、やはり機械式の方が適しているので、電磁式でそれをどこまで正確に出来るかというのが一番の課題ということになります。
また、オイルポンプ以前の問題として、分離給油で混合給油と同等の潤滑性能を得るのは非常に困難という点もあります。混合用のオイルが分離給油使用できないのは、それだけ高粘度で拡散性が悪いからであり、点滴の様にキャブレターに吐出する程度ではとてもガソリンとしっかり混ざらないからです。
しかしその分、混合用オイルがそれだけ高粘度ということは、エンジン保護性能が高いということになります。
分離用オイルはその点拡散性が高く、ガソリンにすぐ溶けるという性能を有していますが、それでいてレーシングエンジンのような過酷な使用にも耐えうる潤滑性能を与えるには、ひとえにオイルメーカーの腕の見せ所といったところでしょう。
また、分離給油の場合、アイドリングの様な低回転時にはオイル量を少なくし、高回転時にだけ濃くするように変更することで、プラグカブリのような症状を少なくすることも出来ます。
が、オイル量が薄いと密閉性が落ちますから、エンジンのネバリが弱くなってしまうことも懸念されますので、混合給油も含めカブルからといっていたずらにオイルを薄くするのは賢明な判断とは言えませんね。
さて、話がそれましたが、このオイルポンプギアの横に、なにやら怪しげなスペースがありました。
何かを差し込むような『穴』が空けられているのですが、何も取り付けられてはいません。
メクラボルトが取り付けられているので、ここに何かテスターの様なものを差し込んで、クランクの回転を拾ったり、オイルポンプの調節をしたりするのかもしれませんね。
おそらく、マニュアルを見れば載ってるでしょうけど、まだ見ない!笑
ーーーーーーそしてちょっと気になるものが、
なにやらタイミングマークが印されているではありませんか!
プライマリーギア→クラッチハウジングギア→『謎のギア』と繋がっているのです。
この『謎のギア』が何を意味しているのか?現時点ではまだ中が見えていないので判りません。
2Tエンジンなのに、クランクの位置で制御するものなんてあったでしょうか??
tm125にはこんなものはありませんでした。
いったい何が入っているのか、気になります。
ミッションのシフトドラムを押さえている留め具の、
マイナスの頭が「グニャ」と変形していました。
画像は締め付けによる変形が大きく見えますが、よくよくみると、緩める方向にもわずかに変形しているのが確認できます。
組み立て時の手順やミスも考えられますが、もしかするとこのエンジンは1度(もしくは数度)開けられている可能性がありますね。
まぁ、26年も前のマシンですから、1度や2度エンジン開けられていたって何ら不思議なことではありませんが。
走行距離が15000km以上にもかかわらず、ピストンの状態はとても綺麗でしたから、それなりに手の入ったエンジンであることは間違いないでしょうね。
ちなみにこのボルト。非常にキツく締まっていたので、ベッセルの持ち手が6角形になったマイナスドライバーにラチェットをつけて緩めました。
ハンマーで叩く振動は避けたい時、この方法で体重をかけて回すと確実に緩めることが出来ます。今回はマイナスでしたが、プラスの時は特に有効な方法ですね。
さぁ、いよいよ次回ご開帳だ!!
by tm144en
| 2021-07-28 00:01
| CAGIVA MITO125
|
Comments(2)