2020年 02月 14日

2ストロークの燃料噴射の難しさ

*つじつかさ著の『ハイパー2ストエンジンの探求』を読み、2ストロークエンジンを燃料噴射式にすることの難しさを勉強しました。
そこで学んだことを当ブログにまとめていこうと思っているのですが、極めて解りやすく簡潔に説明されている本の内容を、さらに私の言葉でまとめるというのは非常に困難と言えます。
本の内容をそのまんま書き写した方が、皆様にお伝えするにはもっとも有効な手立てとなりますが、著作権の概念を省いたとしても、ただ本を書き写すだけの行為では、なんの意味もありません。

いつもであれば、自分のなかで十分咀嚼された知識をブログ記事にして、いけしゃあしゃあと語ることがほとんどなのですが、今回は撮って出しというか、学んで出し。まだまだ咀嚼途中のものを記事にするので、食べてる最中の口の中を見せる行為と同様皆様には不快な思いをさせてしまうかもしれませんが、その辺はご容赦下さい。

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まず、なぜ4ストの燃料噴射式が比較的簡単で、2ストは難しいのかという大きなくくりでの比較から。

燃料噴射装置に必要な物は、大きく分けると『燃料ポンプ』、『インジェクター』、『制御装置』、『センサー』の4つとなります。
ON/OFFの開閉のみを行うインジェクターに、燃料ポンプで加圧されたガソリンの圧力が常にかかっている状態になっており、各種センサーで得られた情報を基に制御装置で最適な燃料噴射量を算出し、インジェクターの開閉を行うといった流れとなります。

ここで一番重要になってくるのが『各種センサーで得られた情報を基に制御装置で最適な燃料噴射量を算出し』の部分。

4ストロークエンジンの場合、吸気、圧縮、膨張、排気の工程が、オーバーラップなどを考慮しても比較的明確に分かれているので、最適な燃料噴射量を理論的に求めることはそう難しいことではありません。

しかし、2ストロークエンジンの場合、排気チャンバーによる吸気のタイミングや、クランク室による1次圧縮とシリンダーに送り込まれる2次圧縮などのタイミングや量が全く不明であるというのが、燃料噴射方式を採用する際のもっとも大きな課題となるのです。
強制的に燃料を送り込む燃料噴射式の場合、送り込むタイミングと量を完璧に制御しなければなりませんが、そもそもそのタイミングがわからなければどうしようもないということなのです。
逆にキャブレター式の場合エンジン側の負圧で吸い込まれていくわけですから、エンジンが必要としている分を勝手にキャブレターのフロート室から吸い上げてくれるので、タイミングや量の制御をする必要はないのです。

これが、2ストロークを燃料噴射式にするのが難しい最たる理由となります。

逆に言えば、難しいのは物理的な技術面ではなく、噴射の『タイミング』と『量』をどう制御するかという点ですから、必要になるのは膨大なデータと経験となります。
したがって、メーカーエンジニアと専属ライダーが納得できる制御データを時間の許す限り突き詰めていくという、人海戦術というか、ローラー作戦というか、そういったむしろ原始的な作業になるのではないかと想像しています。

つまり、『難しい』というのは、ロケットを飛ばすような難しさではなく、山の中に落ちている靴を探すような『難しさ』ではないかと思うのです。

そう考えると、2スト燃料噴射の制御データは年々進化してくのは明らかですし、機械部品ではなく電子部品ですから、進化したデータのECUに交換、あるいはアップデートというのは容易いことだと言えます。

以前試乗させていただいた2T250FIは、インジェクションだと言われなければ全くわからないレベルの仕上がり(燃料噴射制御)ではありましたが、これから先、まだまだ完成度が上がっていくのは楽しみですね。


以上、2ストローク燃料噴射の難しさの概略でした。
詳細は、また時間がありましたら書いていこうと思います。


by tm144en | 2020-02-14 06:09 | tm125EN | Comments(3)
Commented by warmeet1126 at 2020-02-14 06:38
凄くわかりやすかったです。
次回を楽しみにしております。
Commented by さらりーまん at 2020-02-14 15:47 x
こんにちは。
私も少し考えてみたのですが、2st+インジェクションはオイルを燃焼させてしまう構造ゆえに、それに耐えうるセンサー開発が最も困難なのかなと思いました。
アクセル開度、エアフロセンサー、A/Fセンサー(他にもクランク角センサーとか)があれば燃料噴射量は適切に噴射できるようになりますが、排気部品に刺すA/Fセンサーは被水するだけで素子割れを起こすセンサーですから、排ガス中のオイル含有量が多い2stに耐えうるA/Fセンサーは作れない、もしくは作ったとしても利益が出ないのかなと思いました。
Commented by tm144en at 2020-02-15 04:15
>warmeet1126さん

ありがとうございます!

>さらりーまんさん

なるほど、そういう問題点も考えられるんですね!勉強になりました。
宇宙に行ける技術があれば、その程度の物を物理的に作れないことはなさそうですから、市販車につけるにはコストが高すぎるのでしょうね。

もしかすると、開発車両にはそういった貴重なセンサーが取り付けられていて、それで得られたデータを基にマップを作って市販車にフィードバックしている、という可能性はあるかもしれませんね☆

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