2018年 07月 28日

【tm125EN】灰色の空に希望を(第5話)

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プロテクターや荷物を置いてきて身軽になったとはいえ、片側2.6kgのオフロードブーツの『足かせ』は、私の体力を着実に削っていった。
しかし、ゆっくり歩く有酸素運動は体への負担が殆ど無いということを身をもって体感した。『疲労』は、気合いでなんとかなる。だが、先ほどのような、無酸素運動によって発生した乳酸は体にとってかなり危険なのだ。

曇り空の元、程よい気温は私に味方し、さながらハイキング気分だった。到底さっきまで瀕死の状態だった男が遭難さながらに林道を彷徨っているようには見えないだろう。

ただ、依然として脱水状態は続いている。唾液は殆ど出てこず、出たとしても白い泡のようなもので、ペッと吐き出すとフワフワと舞い落ちる。
唾液がこんな状態になったのも初めての体験だ。

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『急がば回れ』

これは、本当に大事な言葉だ。特に、瀕死の状態ならなおさら。

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地図を見ると、現在地から無駄に遠回りするルートになっていたので、矢印の方向にショートカットすることにした。
道は無く、笹薮を漕ぎ、川を渡らねばならないが、600m程短縮できる。消え入りそうな体力の私には、魅力的だった。

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そうして私は、この見るからに鬱蒼とした林の中に歩みを進めたのだった。
膝ほどの深さの川に飛び込み、ゆっくりと歩く。川の水は冷たく、歩き疲れた足を優しく包んだ。思わず飲みたい衝動に駆られたが、それだけは我慢した。

そして、少し歩いて、己の判断の愚かさを悔いた。
川を歩く事が、こんなにも体力を消耗することを・・・・そして、川から出ると今度は水浸しになったブーツが、さっきの倍の重さになってしまうことを・・・
もはや、両足に10キロの『足かせ』をつけているかのような状態だ。しかも、笹薮で非常に歩きにくく、足を必要以上に高く上げなければ歩みを進める事ができず、しかも、丸太や足に絡まる枝、柔らかい砂地と、健康な状態でも難儀するような場所だった。

そして『それ』は、再び私を襲った。急に目の前が緑色に染まり、手足が震えだしたのだ。

マズい!ヤバい!

しばらくその場で休み、大事には至らなかった。先ほどまで順調に歩いてきたことで勘違いしてしまったようだが、自分の体力はやはり限界ギリギリの状態にあることを再確認したのであった。

しかも、ショートカットの先は100m程の崖になっており、それを登った先が目当ての林道になっているようなので、ショートカットはハナから無理だったことに落胆した。

結局また元の場所まで戻り、ただ無駄に時間と体力を削ったばかりか、ブーツの重さを倍にするというペナルティーまで科せられてしまった。

『急がば回れ』

この言葉が、私の胸にしっかりと刻まれた・・・・

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11時40分頃から歩き始め、2時間程が経過した。もう少しで車のある場所まで到着しそうだった。
あと少しと自分を鼓舞する。
少しでもモチベーションを上げる為、到着したらまず真っ先にコンビニに行き、何を飲もうか呪文のように唱えながら歩いていた。

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そして・・・

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着いた〜〜〜〜〜!!!!

あああああああ。諦めなかった!頑張った!

よし、感動はそこそこにして、とりあえず先に、

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オアシス!

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ああああああ!

あああああああ!!

多分、胃腸が弱っているだろうからゆっくり摂取しなければいけない・・・とは思いつつも、もはや今の私を大脳ごときで制御することは不可能だった・・・

・・・

・・・

・・・







by tm144en | 2018-07-28 07:11 | tm125EN | Comments(0)


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