2018年 07月 27日

【tm125EN】灰色の空に希望を(第4話)

依然として手も足も動かない状況で、私は空を眺めていた。

灰色の空は、灼熱の太陽から私を守ってくれていた。

霧で濡れた笹薮は、火照った体を冷やしてくれた。


諦めなければ、未来はまだ続くかもしれない・・・


手と足が動かせなくても、体全体を使って体勢を変えることはできた。

とりあえず、頭が低い位置にあるのは問題なので、なんとか体育座りの体勢になって体調が回復するのを待った。


手も足も動かず半ば絶望的な状態ではあるが、意識だけはしっかりとしていた。意識が朦朧としていてもおかしく無い状況で、これは幸運だった。

ただ、過去の経験からヤバい状態の時は頭を高い位置にした方が良いというのを知っていたので、それが功を奏したとも言えるかもしれない。



したがって、割と冷静に状況を分析する事ができた。


まずは命を最優先にする為、バイクはこの場所に置いて自分だけ歩いて移動することにした。

今回のこの手足の痺れは、おそらく筋力を使ったことによって発生した乳酸によるものだと推定。したがって、これ以上の大きな力を使う作業は厳禁だと考えた。



ゆっくり歩くだけなら、なんとかなるかもしれない。


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遭難ポイントからスタート地点までは、最短の道を通っておよそ8km。

ゆっくり歩いても2時間程で到着できる計算だ。

既に飲み水は無い状態で2時間も歩くのは危険かもしれないが、幸い日差しは雲に遮られ気温もそれほど高くない。2時間位なら歩けるかもしれない。

というか、この場所にいても何も好転しないのだから、歩く他ないのだ。


もしくは、本来向かうはずだった北西の方向に向かえば、少しの距離で林道の外に出る事ができる。

だが、この地図の通りに進んでこの笹薮にいるので、地図に載っている道で最短で外に出られるという保証は無い。

少し遠回りをしても、スタート地点に戻るよりは早く外に出る事もできるが、その場所に何があるかは不明。

農家や山菜採りの車にでも遭遇すれば良いが、確証がない。

今のこの状態で確証の得られない行動は危険なので、距離は遠くとも、確実な行動を取る方を選んだ。


スタート地点に戻ろう!!


少しずつ体力が戻りつつある。手足の痺れも弱まってきた。なんとかなりそうだ!


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インナープロテクターとヘルメット、キャメルバックなど必要の無いものは全て置いていくことにした。少しでも身軽にした方がよい。


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非常に心苦しいが、マシンもここに置いていく。

出来れば、なんとかしてこの場所からマシンを脱出させたいが、一人で脱出させるにはかなり過酷な状態にある為、力任せにやってもしまた手足がしびれるような状態に陥ったら、今度はもう本当に終わってしまうかもしれない。


今、奇跡的に体力が回復したのだから、『確実な方法』を選択するのが賢明なのだ。


「いざ、歩かん!!」







by tm144en | 2018-07-27 06:12 | tm125EN | Comments(0)


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