2018年 07月 26日

【tm125EN】灰色の空に希望を(第3話)

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「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

深い笹薮の中で、身動きの取れなくなったマシンと格闘していた。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


どうして、胸の高さまで埋まるこの深い笹薮を先に進めると思ったのか。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


過去に経験していた。戻れない道を進んではいけない。絶対に・・・


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


とにかく、マシンを方向転換させなければならない。しかし、傾斜がかって立てる範囲が1メートルもない場所で、マシンの向きを180度返るのは容易なことでは無かった。まして、こんな状況で・・・


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


すでにキャメルバックのドリンクは空になっていた。『タイムリミット』が迫っていた。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


『死に物狂い』でマシンの向きを変え、なんとか来た道を戻れる体勢にはなった。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


だがしかし、もう限界である。少し休んだ方が良い・・・
笹薮に埋もれるようにして横になった。


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


どうしたことか・・・・さっきから息が上がって、いっこうに治る気配がない・・・


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


まずい・・・横になるのはまずい・・・立っていた方が良い


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


マシンを支えに、なんとか立ち上がった


「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


しかし、脳みそが下に落ちる感じがして、気がつけばマシンと重なって倒れていた。


「ハァ・・・ハァ・・・」


まずい・・・ガソリンのコックをOFFにしなきゃ・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


もう・・・マシンを起こすこともできない・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


あれ・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


やばい・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


手が・・・しびれてきた・・・腕が・・・しびれてる・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


まずい・・・これはまずい・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


とにかく急いで着てるものを脱がなければ・・・血流を・・・・確保・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


足も・・・やばい・・・下も脱がなきゃ・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


「ハァ・・・ハァ・・・」


「ハァ・・・ハァ・・・」


「ハァ・・・ハァ・・・」


過去、何度も体力の限界を体験してきたが、こんな状態になったのは初めてだった・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


腕が動かない。手が丸まったまま固まってしまった・・・
足も同様に、くの字のまま動かない・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


呼吸は治る様子もなく、視界は緑色に染まっていた・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


動けない。動かない。


「ハァ・・・ハァ・・・」


上下素っ裸になり、手も足もまともに動かせない私は、まるで産まれたばかりの赤子の様にただ横たわっていることしかできなかった・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


「ハァ・・・ハァ・・・」


過去、幾多の困難を乗り越え、体力の限界と戦い生還してきた。どんな時も、他人の助けなど借りなかった。


しかし、流石にこの状況はもうだめだ。自分一人でどうにかできる状態ではない。屈辱的で非常に情けないが、救援を呼ぶしか他に方法は無いだろう・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


一人で山に入って、無茶な事して、自力で脱出出来なくなって救援を呼ぶなんて、なんて情けない、なんて大馬鹿な野郎のすることか・・・情けない・・・情けない・・・


「ハァ・・・ハァ・・・」


だが、そんな心配は無用だった。携帯の電波は届かず、人の気配など皆無のその場所で、私には助けを呼ぶ手段など初めから存在していなかったのだ・・・





by tm144en | 2018-07-26 04:17 | tm125EN | Comments(2)
Commented by 350excf at 2018-07-26 10:26 x
熱中症~!!!
Commented by tm144en at 2018-07-27 14:32
まさしくバイクに熱中症、ですね笑


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