2018年 07月 25日

【tm125EN】灰色の空に希望を(第2話)

1時間程の休憩し、後半戦をスタートさせた。

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後半戦は、先週開拓したルートを再度辿り、途中諦めた所から先を目指すことに。
まずは例の川渡りポイント。既に邪魔な枝は伐採済みで、しかも一度通った道なので走行は至って容易である。

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なんかからまってはいるが。

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分岐点の確認。

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前回はここでスタート地点に戻る方向に進んだが、今回は新たなルートを開拓することに。

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前半戦に引き続き、倒木伐採がメインのルート開拓。

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わざわざ切らなくとも、かき分ければ通れなくもないが、

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どうもスッキリさせたいらしい。

だが、あまりにも伐採の方に力を注ぎ過ぎたのは良くなかった。ライディングの方が疎かになるからだ。
ただ平坦な場所を走るだけならまだしも、こういった獣道を走行するのであればある程度レベルの高い走行スキルが必要とされる。ずっと走り続けることで身のこなしがマシンと一体化し、走行スキルが上がっていくのだが、今回はまだだった。

まだ、だったのだ。

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不意に足元を救われて転倒。あまりにも一瞬の出来事だった。幸い、綺麗に受け身を取れたので体のどこにも異常はなかったが、意図しない転倒は精神的なショックが大きい。

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原因はこれだ。進行方向に対してやや斜めに転がっている丸太。茂みに隠れて視野に捉えきれていなかったのだ。この丸太にフロントがすくわれた、というわけだ。

ライディングが途切れ途切れになると、このように目が慣れてこないことによる転倒が発生する。
気をつけなければなるまい・・・・

と思った矢先に、

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またも倒木。しかも、かなりのヘビー級だ。
後半をスタートしてからこの時点でまだ1時間程しか経過していないが、既にスタミナは底をつきかけていた。前半の疲れが1時間の休憩で完全に回復するわけもなく、さらに倒木の連続。SAMURAIの威力は絶大で、思いのままにスパスパ切れるのだが、それが逆に私を苦しめたのかもしれない。

「切らないで諦める」

という選択肢が無かったのだ。なぜなら『切れる』から。

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「やるしかない!進むしかないんだ!!」

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細めの枝が四方八方にかなりの数があり、それらを剪定するだけもかなり大変な作業だったが、メインはこの大木。
力の向きを考えて下から切り込みを入れていくが、ノコが挟まれてしまった。

「違ったか・・・?」

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ならばと、上から切り始めるが、やはりノコが挟まれる。
角度を変えずとも、常に角を捉え続ける曲がり刃のSAMURAIであるはずなのに、この大木に対してはあらゆる角度から切り込みを入れる必要があった。

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やっとの思いで切断。ここまで15分かかってしまった。

しかし・・・

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このままではどうにもこうにもならない。切断はされたが、ビクともしないのだ。無駄に多い、四方八方に生えている枝のせいで、丸太が転がらないのだ。
一人ではどうにもならない。

こうなったら、

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こちら側も切るしか無い。ここまできたら、やるしかないんだ!

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合計20分以上かかって、なんとか開通させることが出来た。

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丸太は30センチ近い太さだった。SAMURAIの刃渡は40センチなので、ギリギリの太さだったと言える。

やっとの思いで道を開通させ、いざ先へ進もうとした所で、私の体力はもはや限界に達していた。
走るだけならできる。それはどんなに疲れていても造作も無いことだ。だが、また降りて何かをするのはもう無理かもしれない・・・

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と思った矢先。
こんな小枝の塊が、マシンの進行を妨げる。
まだ数メートルしか走っていないのに・・・

結んだばかりのSAMURAIを取り外し、細い枝を切って回る。もはや自分が何をしているのかも判断がつかなくなっていたのかもしれない。意識はまだしっかりとしているが、判断能力が著しく低下していたように思う。

危ない。

山では、常に精密で正確な判断が必要とされる。いい加減な行動は、即座に自分へ跳ね返る。

まるでルーティーンワークの様に、バイクを止め、ノコを出し、枝を切り、ノコをしまい、また走り出す・・・
何かを判断しての行動というよりは、ただ障害物を『切り拓く』。それだけの思考状態。

「あ!」

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転落。崖に転落した。

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落差は2メートル程だった。
不意にはじかれたマシンを制御する体力が残っておらず、暴れるマシンと共に崖へまっしぐら。運良くマシンだけが先に下に落ち、私は手前の木にぶつかったことで、マシンの下敷きにならずに済んだ。

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思わず笑ってしまった。自分の不運さを、もはや笑うことしか出来なかったのだ。
今まで何千キロも林道を走ってきたが、こんなことは初めてだった。まさか崖から転落するとは。これがもし落差数十メートルの崖だったら、どうなってただろうか・・・

不運というか、幸運というのか。

しかも、落ちた場所から先ほどの道に戻る為には、緩やかな傾斜を登って戻ることができたのだ。
これはもう幸運としか言いようがない。ラッキーだ。

だが、本当のラッキー者は、そもそも落ちないはずだが。

体はアチコチ痛い。全身にプロテクターをつけていたから、どこかを軽く打ち付けた程度で済んではいるが、疲労困憊の体にはこたえる。

さすがに意気消沈した。今日はもうやめよう。先ほどの転倒に続き、崖に転落と続いたのではもう私にマシンを操る体力が残っていないということだ。

・・・・だが、もう少し行けば、ルートが開拓されるはず・・・

もう少し・・・

もう少しだけ・・・

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気づいた時には深い笹薮に阻まれ、身動きが取れなくなっていた・・・


by tm144en | 2018-07-25 05:15 | tm125EN | Comments(0)


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