【tm125EN】惨劇のアト

ガレージに戻り、とりあえず腹ごしらえと洗車を済ませ、

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いよいよメスを入れる覚悟を決めた。

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キックが下りない。故に、中で『何か』が引っかかってるという訳だから、尋常ではない。

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だが、シリンダーを外して正直拍子抜けした。思いの外ひどい状況ではなかったからだ。咄嗟にクラッチを握ったのが、功を奏したのだろう。

だからといって、

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これではどうにもならない。大きく壊れていようが、小さく壊れていようが、壊れていることに変わりはないのだから。

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ピストンリングの切れ目が埋まってる、、、と思ったら、

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どうやらこっちが切れ目のほうである。つまり、さっきのは削れて切断された状態だったのだ。

破損はピストンにとどまらない。この時点でもなお、クランクは回らない。破片がクランクに侵入し、引っかかっているのだろう。

あるいは、、、

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とにかく、全て分解した。
tmの腰下に手を出すのは、これが初めてである。

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問題のクランク。

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しかし、なんとまぁ美しいことか。さすがtmである。既に鏡面に磨きがかけられ、一縷の隙も無い。
こういうことを当たり前に行っていることの『価値』というものを、改めて実感した瞬間であった。

ーーーーしかしながら、今は壊れている。

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コンロッドには傷が入り、うっすら焼け色がかかっている。

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クランクにも焼け色が付いており、そして残念ながら、というか予想通りというか、クランクベアリングはバラバラに砕けていた。あわよくば腰上だけで、、、という淡い期待は、脆くも潰えた。

ところで、

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何が挟まっているのかと思い、

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引っこ抜いてみると、

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どうやらコルクのようである。クランクに開けられた穴を塞ぐ為にコルクを使用するあたり、さすがイタリア人というべきか。

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クランクピンは、おいそれとは抜けなさそうな精度で圧入されている。真ん中のピンのような物もよく解らない。

他のマシンであれば独学で適当な作業も辞さないが、ことtmに関しては、やはりうえさかさんのご教授なくして触ることなど許されない。

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シリンダーにも傷。
たしか、ニカジルメッキ(?)だかが施されており、ボーリングは不可だと聞いた記憶がある。
つまり、シリンダー交換ということになるのだろう。

クランクも、ピンとベアリングを交換することで済めば良いが、精度的な問題でもしそれが不可なら、アッセンブリー交換の可能性も否定はできない。

そうなれば、ピストン、コンロッド、クランク、シリンダー、シリンダーヘッド全てを新品に交換ということにもなりかねない。

、、、、

、、、、

、、、、

あ、めまいが、、、

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ただ、この状況を『楽しんで』いる自分がいる。

マシンを壊しておいて不謹慎なのだが、やはり、どうしても私は『乗る』より『触る』方が好きらしい。
tmという、まさに珠玉というべきマシンに搭載されたエンジン。
そのエンジンに手をかけるということが、どれほど尊いことか私には理解出来ている。

だからこそ、気分が高揚せずにはいられない。

エンジンブローがなんだ。壊れたんなら直せば良い。レーシングエンジンなんだから、間違った使い方をすれば、壊れるのは当たり前。このエンジンに、安全マージンという概念は無い。

あの『2%』をつかう直前までは、至って順調だった。全く不穏な印象など無かった。

しかし、そのたった『2%』のスロットルを開けたばっかりに、メインジェットの供給量を超えた空気がエンジンに送り込まれ、混合気が薄くなり高温燃焼。結果ピストンが溶けてしまった。

私の無知と愚かさ故、尊いエンジンを壊してしまったのだ。

されど、壊れたのはたかがエンジン。無知と愚かさの代償は、お金で解決出来る。人をハネたり、自分が怪我をした訳ではないのだから、何も問題はない。

つまり、待っているのは、、、

『楽園』
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by tm144en | 2017-05-25 03:41 | tm125EN | Comments(0)

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