アンギュラコンタクト玉軸受けの組合せ方による得失

DB7のステムベアリングが、ようやっと届くそうです。
そのステムベアリングについて一考。


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バイクのステムベアリングは、(私の知る限り)大きく分けて2種類のベアリングが採用されています。
『えんすいころ軸受』と『アンギュラコンタクト玉軸受』。通称『テーパーローラーベアリング』『アンギュラボールベアリング』と言われています。

『えんすいころ軸受』とは、

アンギュラコンタクト玉軸受けの組合せ方による得失_e0159646_3134567.jpg


このようなベアリング。

『アンギュラコンタクト玉軸受』とは、

アンギュラコンタクト玉軸受けの組合せ方による得失_e0159646_3135851.jpg


このようなベアリングを指します。

どちらも、転動体が『ころ』か『玉』の違いの他、基本的には同じ目的で、ラジアル方向とアキシャル方向の両方に荷重が掛かる部分で使用されるベアリングと言えます。

『ころ』であるか『玉』であるかの言及については今回は割きますが、掛かる荷重や回転抵抗の違いにおける、そのマシンの特性を生かす方を選択する、という認識で良いと思います。

ちなみに、オフロードマシンは『ころ』、DB7やドカティのSB系は『玉』を使用しています。

ーーーーーーこれらのベアリングは、基本的には『対』で使用されることが多く、そのことを『組合せ』と言います。

『えんすいころ軸受』で単体で使用されている例としては、BMWのファイナルケース内で、ドライブシャフトとケースとの当たり部分等があります。

アンギュラコンタクト玉軸受けの組合せ方による得失_e0159646_3264075.jpg




『えんすいころ軸受』及び『アンギュラコンタクト玉軸受』の組合せ方については、大きく分けて『正面』『背面』『並列』の3つとなります。
ベアリングの外側の部分、ステムベアリングで言えばフレーム側のレース部分同士が向き合わさる(くっ付いていても、離れていても)状態を『背面組合せ』と言い、その逆を『正面組合せ』と言います。

今回は、この2つの組合せにおける得失を以下にまとめました。
尚、ベアリングのイラストは『玉』であるが『ころ』でも同じことが言えます。

アンギュラコンタクト玉軸受けの組合せ方による得失_e0159646_3412972.jpg


ステムベアリングは『背面組合せ』であり、モーメント荷重を受け止めることが最大の目的であると言えます。

モーメント荷重とは、ステムベアリングの場合

アンギュラコンタクト玉軸受けの組合せ方による得失_e0159646_441372.jpg


マシンがバンクしている時に地面から押される力(赤矢印)が発生した際、フォーク及びトリプルクランプの捻れによって発生する(黄矢印)部分(上下ステムベアリング)に掛かる荷重のことです。
(と言って良いと思います 冷汗)

『背面組合せ』にすることで、この力に対しての剛性を上げているんですね☆☆☆☆


ちなみに、『正面組合せ』は心違い(軸のズレ)に有利なので、DB7のスイングアームピボットベアリングの片方にこれを採用することで、もしかすると良い結果が生まれるかもしれないということから、一考に値すると考えています。
Commented by イシ at 2023-12-09 20:11 x
初めまして。アンギュラ玉軸受けの逆向き与圧するとどうなるか、調べていて、こちらに当たりました。まさか、バイクの方とは驚きました。
BMWのテレレバーのフロントサスがゴロゴロしているので、調べています。ステム上にアンギュラ(単列っぽい)のを使っているのですが、上ステムに掛かる力は車体に対して、突き上げるので、テーパーが逆のようなのです。小径側のテーパーで受けるしかないようなのですが、向きが逆に付いています。BMWの技術者も、荷重が車体に対して突き上げると勘違いしたようです。実際には車体に対して、ステムだけを突き上げるので逆向きです。どうでしょうか?日本のNTNでは同サイズで複列を製品化しています、さすが、と思いました。
Commented by tm144en at 2023-12-09 22:08
コメントありがとうございます。
今確認してみた所、モントークの該当箇所のベアリング は複列が使用されていますね。
品番的におそらくSKF製のものと思われます。

https://tm144en.exblog.jp/dialog/images/viewer/?i=202312%2F09%2F46%2Fe0159646_22043885.jpeg

ゴロゴロした症状があるとのことですが、片っ端から点検してみないとわからないかもしれませんね…


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by tm144en | 2014-11-08 04:11 | BIMOTA DB7S | Comments(2)

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