【チャレンジ】フェリー乗りたいんだツーリング(第3話)〜礼文島前編〜
2017年 07月 21日
礼文島。
稚内の西方60キロメートルの日本海上に位置する島で、地名の語源はアイヌ語のレプン・シㇼ=repun-sir(沖の・島)からきている。
面積は81.33㎢で、北海道で上陸できる島の中では利尻島、奥尻島に次ぐ3番目の大きさの島である。
高山植物が多く、別名『花の浮島』とも呼ばれている。
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車両甲板のゲートが解き放たれ、間も無く下船の時がやってきた。
そう。この先に広がるのは『花の浮島』。
『ようこそ礼文島へ』の看板に歓迎され、私は初めての礼文島へと降り立った。
なんの事は無い。そこは基本的に北海道。降りた途端に蒸し暑いだの、ココナッツの香りがするだのといったことは無い。
天気は小雨。せっかくの『花の浮島』は、『霧の浮島』になっていてことごとくツイないと思ったが、実はそうでもなかったようだ。
その頃札幌方面では、記録的な大雨に見舞われており、洪水の危険性さえあったのだ。
運良く、それほどの厚い雲から逃れてきたと言えるのかもしれない。もしくは、その雲が道北の方まで伸びていたっておかしくはなかった。
いずれにせよ小雨程度で済んでいるということは、運が良かったのだ。
しかし、ここで重大な問題が発生した。ヘルメットのシールドが曇ってしまい、まったく視界が確保されない状態になってしまったのだ。
シールドを開けた状態では、小雨が目に当たるのでとても開けていられず、かといって閉じれば曇って視界ゼロ。
これでは完全に走行不能と言える状態である。全くもって準備不足というか、ヘルメットの性能が悪かったとしか言いようが無い。せめて曇り止め剤でも塗っておけばまだなんとかなったのかもしれないが、それも後の祭り。
そんな状況ではあったのだが、とりあえずは予定通り礼文林道を目指すことにした。
霧が掛かって見通しが悪いが、それよりもトレッキングの旅人が多く出現し、とてもスピードを出せる状況ではなかった。まるで、私の方が走ってはいけない場所を走っているかのような気分にさえなった。
晴れていれば、遠く利尻島を見渡せるはずなのだが、あいにくの天空の城状態。
7km程の林道を走り終え、海沿いの道に出て北上した。
礼文島の海沿いの街並みは、北海道本土のそれと同じであった。
依然としてシールドの視界不良は続き、雨が止まない限りはまともな走行は出来ないと判断し、早々にキャンプ地入りすることにした。
久種湖畔キャンプ場はこの日は風が強かったので、タープは低めに設置し、テントの出入り口付近のみを覆う位置に張ることにした。
テント設営の準備が整ったら買い出しである。
近くに漁業組合のスーパーがあったので、助かった。豊富な食材が揃っていたので、食べたい物を購入することが出来た。
レジの人に近くに温泉か銭湯は無いかと尋ねると、無いという返事が返ってきた。温泉は、フェリーターミナルの方にしか無いのだそう。
失敗した。温泉どころか、銭湯すらも無いとは。
雨でびしょ濡れの状態で、このままテントで過ごすのは体力的に厳しいものがある。風邪をひいてしまってはお話にならないので、なんとか体を一旦全快まで温める必要がある。
かといって、今からまた20kmを南下してフェリーターミナルまで行く気にもなれなかった。
そこで、かくなるうえということで、キャンプ場のシャワー室を利用することにした。
そう。実はキャンプ場にシャワー室が完備されているのだ。
だったらそれで良いじゃないか、という所なのだが、これがそうもいかない。
15分100円で利用できるのだが、15分100円1人1回のみなのである。
服の着脱も含め、15分で全てを終わらせなければならないのだ。
下手に体を濡らし、返って湯冷めしたのでは本末転倒。体の芯まで温める必要があるのだ。
とはいえ、しのごの考えていても事態は好転しない。一か八かシャワーに入ることにした。
なるべくシャワーの温度を上げ、タイマーを見ながらギリギリの時間までとにかくシャワーを浴び続けた。
延べ10分は浴び続けただろうか。汗が止まらない位に全身が温められた。
素早く体を拭き、シャワー室を掃除し、律儀に15分きっかりにシャワー室を出ることが出来た。
体の芯は温められたままの状態で、それでいて汗が引いたタイミングを見計らって、テントの中に潜り込んだ。
天気が良ければこんなにも気を使うことは無いのだが、気温が13度程しかなかった為、ある程度気を付けないと風邪を引いてしまう。
しかも、今回は温かい上着や肌着を一切もってきておらず、インナープロテクターとゴアテクスのウィンドブレーカー、そしてエンデューロジャケットとジャージのみという無謀な格好できてしまった。
いつもなら、かならずヒートテック系の温かいインナーを着用してくるのだが、7月前半の30度超えの日々が、私の正常な判断を狂わせた。
暑さはどうにでもなるが、やはり寒さには気をつけなければならない。
今まではいつもそうしてきたのにも関わらず、今回はしくじったと言えよう。言い訳は色々あるが、要するに『しくじった』のだ。
嘆いてばかりいても楽しく無い。
美味しいものを食べれば、全ては報われる。
豚のバラ肉400グラムと、ニラ、タマネギを用意。
キッチンバサミで適当なサイズにカット。
その間に、土鍋で米を炊いておく。
米が炊き上がったら、蒸らす時間を利用して、
肉、野菜の順に鍋で炒める。
調味料はタレびんに小分けにして持参してきた。
今回は醤油とみりんだけを使用する。
ガチ調理器具による、豚バラ炒め定食の完成。
テントの中で食べる、豚バラ炒めをおかずに半年振りのビールと炊きたての土鍋ご飯。
これ以上の幸せがあるだろうか?
先ほどまでのシールドが曇るだの、寒いだのなんだのということは、もはやどうでも良いことになってしまった。
ちょっと多いかと思われた400グラムの肉もあっという間に平らげ、至福の満腹を堪能したのであった。
そしていつしか、夢の中。。。
by tm144en
| 2017-07-21 07:12
| BMW G650x challenge
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