【チャレンジ】フェリー乗りたいんだツーリング(第1話)〜北上編〜
2017年 07月 19日
16日朝5時。なんとか出発にこぎつけた。
土曜日の仕事。早めに終わらせ、余裕を持って稚内を目指したかったが、ギリギリの時間に15人ものお客さんが来店されそれもオジャン。
事前にある程度の用意をしていたから良かったものの、それでも精神的に圧迫されながらクラッチを繋くこととなった。
札幌から稚内まではおよそ330km。
フェリーの時間が11時なので、時速60kmペースで走れば間に合う計算ではある。
経験上、80kmペースでも走れるので、余裕で間に合うはずである事は確かだった。
しかし、道中なにがあるか判らない。早め早めの行動は然るべきだが、それよりも増して『時間制限付き』という無言のプレッシャーが、私を焦らせた。
最初の1時間は60km。最低限のペースは達していた。
しかも、最初は札幌市街を抜けるのに信号で無駄に止まるハメになる。このあとはほとんど信号はないので、ペースは必然的に上げられる。
よっぽどの事が無い限り、フェリーに間に合う事は確信した。
だが、実は間に合えば良い、ということでは無い。
睡眠をとっていないのだ。というか、休憩すらもままなっていない。12時間の仕事を終え、そのまま取る物も取り敢えず出てきたのだから無理もない。
予定としては、フェリーを待つ間にターミナルで数時間の仮眠をとるつもりでいたのだ。
礼文島に着いてからはタイトなスケジュールで島を巡らねばならないし、フェリー乗船中も寝るわけにはいかない。なんせ、フェリーに乗る事が今回最大の目的なのだから、寝てしまっては本末転倒。
だから、1時間でも早く稚内に到着し少しでも長く睡眠をとる事は、安全なツーリングを達成させる為にも至上命題となる。
留萌まで2時間掛からなかった。
ここまでくれば、稚内まではあと182km。
最初の1時間は60kmペースだったが、次の1時間は90kmペースで来れた。まずまず快調と言っていいだろう。
留萌を越えた辺りから、海を肌身に感じる様になる。
だが、先を急ぐ私に、そんな情緒的な余裕は無い。
今回はとにかく、フェリー乗船及び礼文島を満喫する。これに尽きる。北海道本土はまたいつでも走れるのだから。。。
だが、そんな想いに文字通り暗雲が立ち込め始めた。
そもそも曇り空で、パッとしない天気ではあったのだが、ここにきていよいよ路面が湿り出してきた。
霧雨による視界不良。路面の状況も悪くなる為、ペースダウンが余儀無くされる。
ここまで良いペースで走ってきているので、ペースダウンが致命傷になることは無いが、ただ単に睡眠時間が削られることになる。
サロベツの風車も、まるでカリン塔を連想させるかの様に、その頂点が見えない。
奇々怪々としたその姿に不気味さを覚えながらも、今はとにかく右手の力を抜く事はしなかった。
先が全く見通せないのは、現実のこの視界だけではなく、今回のツーリングにもリンクしているのだろうか。。。
当然、利尻島は見えない。
思えば去年のロングツーリングの時も、霧雨だった。あの時はDB7だったからなおさら虚しかったのをいまでも覚えている。コーナリングを楽しむ為に生まれたマシンで、コーナリングで寝かせられないのだから。
今回はチャレンジだからまだ良い。走りそのものは、ロードに関しては特に面白いということは無いし、汚れだってむしろ勲章のマシンだ。
だが、食べ物も人との交流も主眼に置かない私のツーリングは、景色を堪能する事が一番の目的なのだ。
青い空と青い海をこよなく愛する私から、この曇り空はその全てを奪い去ってしまう。
だから、私に残されたものは、もはや『行ってきた』という既成事実を作ることだけ。
そう。それだけ。。。
ーーーー9時丁度。
稚内のフェリーターミナルに、無事到着する事が出来た。
船の出航まで3時間ある。食事も睡眠も乗船の準備も、その全てを余裕を持って出来る。
乗船の受付は9時50分からとのことなので、まずは空腹を満たすことに。
近くのセイコーマートでお弁当を買い、ターミナルの隅っこのベンチでムシャムシャとかっこんだ。
そして、束の間の睡眠を取った。礼文島の晴れ間を願いつつ。。。
by tm144en
| 2017-07-19 05:00
| BMW G650x challenge
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