あの惨劇を繰り返さない為に

初日の出は縁起物。昨年までは拝める事の方が多かったのだが、今年は拝む事が出来なかった。。。。

1月2日。それは起こった。

1月元旦。初日の出ツーリングから帰ってきたのが11時30分。それからすぐに温泉施設に出かけ、一泊。2日の朝、ガレージに戻ってきた。

雪かきの大仕事が待っていたが、まずはガレージ内を暖める為薪ストーブに火をいれることに。
いつものようにダンボールを敷き詰め、灯油をかけようと思ったが手元に無い。そういえば、先ほど温泉から戻って来る途中でポリ缶に買ってきたのだが、それを車に積みっぱなしにしていた。
本来であれば、車はドアを出てすぐに置いてあるが、今は除雪をする為に少し遠い場所に停めていたのだ。

「めんどうくさい」

そう思った私は、火つけはダンボールだけで良いか、とは考えたが、それだと薪に燃え広がるのが遅くなるのでなにか強い着火剤になるものはないか、とも同時に考えていた。

そしてあるものに目をつけた。
『それ』は、つい昨日、怒涛の初日の出ツーリングから帰ってきたばかりのVANVANの荷台に積んであった。『それ』がよく燃える事は知っている。
過去何度か、『それ』を焚きつけにした事もあった。
『それ』の燃焼力は、灯油を遥かに凌ぐ。灯油は、何かに染み込んだ状態でないと着火しないが、『それ』はそのままの状態でも火を近づければすぐに着火し、そしてあっというまに燃え広がる。

一般的に『それ』に火を近づけることは御法度である。そんなことは常識であり、私で言えばむしろその最先端で勤務していた経験すらある。当然、取り扱いの免状すら持っている。したがって、一般の人よりも『それ』の特性に熟知している。

はずだった、、、

私は、VANVANの荷台に積んである、赤い色をした缶を手に取り、おもむろにストーブの中に敷き詰めたダンボールに中身をぶちまけた。
それほどの量は残っていなかった。せいぜい2~300cc位だろう。
それから、その上に薪を重ねていった。いつもの灯油より強い着火材だから、いつもより多めの薪を、ぎゅうぎゅうに詰め込んだ。

ぎゅうぎゅうに詰め込む作業に夢中になり、ずいぶんと時間が経ってしまった。

そこで、ふと思った。

「あれ?ちょっとヤバくない?」

何がヤバいのかと言うと、『それ』は揮発性の液体であるということ。それはどういうことかと言うと、常温で可燃性ガスが出続ける液体ということ。可燃性ガスとは、つまり燃える気体。LPガスやプロパンガスといった類いと同じだ。

したがって、薪をぎゅうぎゅうに詰め込む作業を行っていたあいだ中、着々と薪ストーブ内に可燃性ガスが蓄積していたのである。

缶から取り出した『それ』に、すぐに火をつけた、あるいは大気中で火を近づけたのであれば、可燃性ガスの量もそれほど多く出ていないので、『よく燃える』程度で済む。
しかし、今の状態はそれとはまるで違う。
可燃性ガスが、薪ストーブ内にパンパンに溜まっている状態なのである。

どうしよう。いまさら、中の薪を全部取り出すのも面倒だし、ま、大丈夫だべ?

そして私は、ストーブの下に設けられている吸気口にガスバーナーの青白い火を近づけた。

、、、

、、、

、、、

、、、

、、、

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それは一瞬の出来事だった。

グチャグチャになった光景を目の当たりにし、しばらくのあいだ茫然自失していた。

煙突は外れ、ストーブのガラスは割れて飛び散り、蓋はひしゃげ、足が外れて本体は倒れ、上蓋は消え、薪が散乱していた。

何が起こったのかは、すぐに理解できた。己の愚かさも痛感していた。
不幸中の幸いだったのは、火が燃え広がるようなことがなかったことだ。
かけた量が少なかったこと。その全てがダンボールに染み込んでいたこと。そして薪をぎゅうぎゅうに詰め込むのに時間がかかり、液体が全て揮発していたこと。

もし、液体がまだ残っていて、爆発の衝撃で飛び散るようなことがあれば、ガレージ中が火の海になっていたことだろう。

人間の愚かさは、『慣れた時』に顔を出す。
どんな行いでも、『慣れた時』こそ注意しなければならない。
『慣れ』や『慢心』こそ、生きていく上でもっとも注意しなければならないことと言えるのだ。


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そして、それが引き金になったことは自明のことだ。
先日の煙突外れ事件である。爆発の衝撃で、2重煙突にしていた内側がゆるくなってしまったのだ。
その時はちゃんと付けたつもりになっていたが、内側を確認するまでには至ってない。その時点で外れかかっていたのだろう。

先日火をつける前に、多少ストーブ本体を動かしたので、その時に完全に外れたのだと考えられる。
煙が、2重煙突の隙間から漏れ出してきたのだ。

そうなってしまっては後の祭り。火をつけてしまったストーブはどうする事もできない。いや、水をかけて消火する事は出来るが、そうすると今度は灰が巻き散らかって大変なことになるので、煙が充満するのと大差ない。火がストーブ内に収まっているのであれば、水をかけるのも賢明とは言えないのだ。

煙の中、汗と涙と鼻水まみれになりならがも、なんとか煙突を接続し事態を収束させるには至ったが、そのあと外で嘔吐するはめにはなった。。。

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あの惨劇を繰り返さない為に。

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まずは、煙突をしっかりと固定しなければならない。
というか、そもそも煙突はそう簡単に外れるものではない。重なっている部分はズレないように出っ張りがついているからだ。

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しかし、煙突が劣化して緩くなっており、出っ張りを乗り越えてしまったのである。
煙突を新しくするのが一番ではあるのだが、煙突そのものはまだ使えるので修復することにした。(こうした行いが事故の元なのだが、、、、懲りてないようだ)

要するに外れなければ良いのだから、

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リベットで固定すれば良いのだ。
通常のリベットはアルミ製なので、高温になる煙突には使用出来ないが、このリベットはステンレス製なので問題は無い。
ただし、かしめる力が尋常じゃ無いほど固いので、リーチの短い安物のリベッターでは、両手でリンゴを握りつぶす位の握力が必要になる。

しかもそれほど固いと、カシメた後に後ろから抜けてくるピンが、まるで鉄砲玉の様に飛んでくるので、失明だけは注意しなければならない。

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ドリルで下穴を空け、

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リベットで固定。
今回緩くなっていた箇所だけではなく、垂直につながっている所を全て固定。
外れないよう念のためでもあるが、この後の作業のやりやすさにも関わってくる。

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そう。2重煙突を被せる時に、煙突が固定されている方がやりやすいのだ。

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先に煙突を通して、一旦固定し、

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L字缶でストーブと煙突を固定し、耐熱シートを巻く。

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耐熱シートに、ゆっくりと外側の煙突をかぶせていく。

そしたら脚立に上がって、

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上側の隙間に耐熱シートを押し込んでいく。

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全部押し込んで完了となる。

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1週間振りの2重煙突。やはり、2重煙突じゃないと、なんか火力が弱くてダメだったんですよねぇ〜。

ーーーーーーーーさて、せっかくなので、煙突の掃除もします。

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煙突キャップもススで詰まってました。

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当然、煙道もススだらけになっていることでしょう。

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大惨事!!

居酒屋の仕事が終わった後、今度はススまみれになって煙突掃除。
なんでこんなに大変な思いを、わざわざ味わっているのだろうか?笑

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勘弁してケロ

Commented by ヒナアユ at 2017-01-12 19:43 x
お怪我が無くて良かったです!
Commented by タシマ at 2017-01-12 20:24 x
顔出しして女の子から案外カッコいいですねなんて言われたかっただけだろ?
毛がなくて良かったですね
Commented by りゅう at 2017-01-12 22:53 x
命がけのブログ記事ありがとうございました。
○ソリンはアカンでしょう汗
しかし寒いと面倒だからやってしまうのかな(笑)
なんにせよ、大事にならなくてよかったですね。
しかし最後の顔出しには驚きました!(笑)
Commented by tm144en at 2017-01-13 04:24
>ヒナアユさん

お気遣いありがとうございます!
火をつける時、かなり腰が引けてたのが功をそうしました。アレ普通にやってたら、ガラス顔面にかぶってたと思います(冷汗)

>タシマ君

女性読者からのコメント欲し〜〜!笑

>りゅうさん

写真に収めてなかったので、初めはこの件を記事にしないつもりだったのですが、煙突の話との脈絡が合わないのでなんとか文字だけで表現しました。

ガソリ○はアカンですね(苦笑)
でも、灯油で着火するのは漁師の時に教わったので、薄鉄板ストーブの方は皆そんな感じかもしれませんね。

作業後、顔が真っ黒になっていたので、つい(笑)
ただ、ちょっと誇張されてますが。。。
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by tm144en | 2017-01-12 05:50 | 薪ストーブ | Comments(4)

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