倒立フォークの優位性
2014年 09月 06日
私は昔から、倒立フォークが好きでした。良い悪い関係なく、とにかく倒立の方が『カッコイイ』と思ってました。
また、ドカティを始め、所謂『レーサーレプリカ』を意識したモデルは、殆ど全て倒立を採用しています。
つまり、このことからサーキット走行や、スポーツ走行においては倒立の方が優位性があるということが伺える訳ですが、具体的な部分は『ボンヤリ』としか知りませんでした。
良く言われるのは、『剛性の高さ』です。太いアルミ(弾性変形が少ない→固い)のアウターチューブをトリプルクランプ側に持ってくることで、取り付けの剛性が高くなるという点。
また、オフロードにおいて正立の場合、ストローク量の確保の為にアクスルシャフトより地面側にアウターチューブが伸びてしまい、悪路走行の妨げになることからモトクロスでは倒立が採用されたという理由もあります。
しかし、倒立フォークの一番のメリットは『作動性』が軽い(低フリクション)事なのです。
むかし、ミカホスポーツの社長さんにこの事を教わったことがあったのですが、すっかり忘れてました。
そこで、再度勉強し、しっかりと理解を深めたという訳です。
決め手は『かん合長』
かん合長とは『嵌合長』という文字のごとく、『はめ合いの長さ』という意味。
同じ条件で倒立と正立を並べた場合、ボトムクランプの関係上、倒立の方が『かん合長』を長く取る事が出来ます。
この『かん合長』が長い方が、低フリクションとなる訳です。
真っすぐ垂直に上下動をするのであれば関係ないのですが、フロントフォークは地面に対して斜めになっているので、この重なっている部分(かん合長)の長さが長い方が動きに抵抗が少なくなるのです。うまく説明出来ませんが、経験的に理解しやすい所だと思います。
追記:支点、力点、作用点の長さを考えると、かん合長が長い方が支点からの長さを確保できる→力が伝わりにくい→抵抗が少ないというのが解ります。
低フリクションは、フォークの大径化で得る事も出来ます。今はどうか分かりませんが、’08tmはフォーク径50φで、当時ライバル車を圧倒していました。
バネ特性も減衰力特性も、スムーズに動くフォークがあってこそ最大限に活かせるものです。
倒立最高♪
ちなみに、BMWではG650シリーズとS1000RR、HP2エンデューロ、HP2メガモト以外では倒立を採用していなかったように記憶しています。
テレレバーやデュオレバーを採用しているのであれば関係無いですが、古いテレスコピックモデルで倒立を採用しなかったのは、それはそれで理由があるからなのでしょう。
採用『出来なかった』のか、『しなかった』のかでは大きな違いがあります。
アウトバーン走行、及び一般道を主軸に考えるのであれば、正立の方がメリットがあるのか?
おそらく、それは『衝突安全設計』ではないかと、私は考えます。
倒立のメリットとして挙げた『剛性の高さ』は、正面衝突の際はそっくりそのままデメリットになってしまいます。衝突エネルギーが緩和しないからです。
細くて柔らかい(弾性変形量が多い)スチールをトリプルクランプ側に持ってくることで、衝突エネルギーを大幅に吸収することを狙っているのでしょう。
国産車でも、スポーツモデルではないツーリングモデル等では正立が採用されています。
転んだ時の為にヘルメットを被る様に、正面衝突が起こった際の『クラッシャブルゾーン』をどれだけとれているかが、そのマシンの性能を語る上で重要なポイントと言えるのです。
『スポーツモデルとして』優位性の高い倒立フォークではありますが、著しくクラッシャブルゾーンの少ないマシンである事を十分理解して乗る必要があるのです。
本当の意味での『ストリートファイター』は、正立フォークなのかもしれませんね。。。
アレ!?倒立アミーゴ話じゃなかったの!?
また、ドカティを始め、所謂『レーサーレプリカ』を意識したモデルは、殆ど全て倒立を採用しています。
つまり、このことからサーキット走行や、スポーツ走行においては倒立の方が優位性があるということが伺える訳ですが、具体的な部分は『ボンヤリ』としか知りませんでした。
良く言われるのは、『剛性の高さ』です。太いアルミ(弾性変形が少ない→固い)のアウターチューブをトリプルクランプ側に持ってくることで、取り付けの剛性が高くなるという点。
また、オフロードにおいて正立の場合、ストローク量の確保の為にアクスルシャフトより地面側にアウターチューブが伸びてしまい、悪路走行の妨げになることからモトクロスでは倒立が採用されたという理由もあります。
しかし、倒立フォークの一番のメリットは『作動性』が軽い(低フリクション)事なのです。
むかし、ミカホスポーツの社長さんにこの事を教わったことがあったのですが、すっかり忘れてました。
そこで、再度勉強し、しっかりと理解を深めたという訳です。
決め手は『かん合長』
かん合長とは『嵌合長』という文字のごとく、『はめ合いの長さ』という意味。
同じ条件で倒立と正立を並べた場合、ボトムクランプの関係上、倒立の方が『かん合長』を長く取る事が出来ます。
この『かん合長』が長い方が、低フリクションとなる訳です。
真っすぐ垂直に上下動をするのであれば関係ないのですが、フロントフォークは地面に対して斜めになっているので、この重なっている部分(かん合長)の長さが長い方が動きに抵抗が少なくなるのです。
追記:支点、力点、作用点の長さを考えると、かん合長が長い方が支点からの長さを確保できる→力が伝わりにくい→抵抗が少ないというのが解ります。
低フリクションは、フォークの大径化で得る事も出来ます。今はどうか分かりませんが、’08tmはフォーク径50φで、当時ライバル車を圧倒していました。
バネ特性も減衰力特性も、スムーズに動くフォークがあってこそ最大限に活かせるものです。
倒立最高♪
ちなみに、BMWではG650シリーズとS1000RR、HP2エンデューロ、HP2メガモト以外では倒立を採用していなかったように記憶しています。
テレレバーやデュオレバーを採用しているのであれば関係無いですが、古いテレスコピックモデルで倒立を採用しなかったのは、それはそれで理由があるからなのでしょう。
採用『出来なかった』のか、『しなかった』のかでは大きな違いがあります。
アウトバーン走行、及び一般道を主軸に考えるのであれば、正立の方がメリットがあるのか?
おそらく、それは『衝突安全設計』ではないかと、私は考えます。
倒立のメリットとして挙げた『剛性の高さ』は、正面衝突の際はそっくりそのままデメリットになってしまいます。衝突エネルギーが緩和しないからです。
細くて柔らかい(弾性変形量が多い)スチールをトリプルクランプ側に持ってくることで、衝突エネルギーを大幅に吸収することを狙っているのでしょう。
国産車でも、スポーツモデルではないツーリングモデル等では正立が採用されています。
転んだ時の為にヘルメットを被る様に、正面衝突が起こった際の『クラッシャブルゾーン』をどれだけとれているかが、そのマシンの性能を語る上で重要なポイントと言えるのです。
『スポーツモデルとして』優位性の高い倒立フォークではありますが、著しくクラッシャブルゾーンの少ないマシンである事を十分理解して乗る必要があるのです。
本当の意味での『ストリートファイター』は、正立フォークなのかもしれませんね。。。
アレ!?倒立アミーゴ話じゃなかったの!?
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サボリーマン
at 2018-09-14 22:54
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オイルの漏れ易さにも言及して欲しかった。
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tm144en at 2018-09-15 01:38
フルードが漏れやすいのは、摺動抵抗を減らせる事の結果であり、シール清掃の必要性がバイクショップからなされないことが原因だと考えています。
倒立の場合は、シールに対してフルードが常に重力で落ちる力が加わるので、リップの潤滑が的確に行われることで摺動抵抗が減ります。正立の場合はシールの下にフルードがあるので、インナーチューブに引きずられて上がってくる分だけなので、潤滑もそれなりではないかと考えられます。
あとは、定期的にダストシールを外して、リップの隙間に入った砂などの汚れを綺麗にすることで、オイルシールの寿命は格段に上がります。
また、倒立の場合はインナーチューブが地面に近いことで、巻き上げた石などで傷が付くリスクが高いことも、正立よりもフルードが漏れやすいと言われる所以かも知れません。
その場合、適切な洗車方法を取っているかがポイントになりますし、要するにマシンの問題ではなくライダーに起因することの割合が高いのが倒立なのだと私は考えています。
倒立の場合は、シールに対してフルードが常に重力で落ちる力が加わるので、リップの潤滑が的確に行われることで摺動抵抗が減ります。正立の場合はシールの下にフルードがあるので、インナーチューブに引きずられて上がってくる分だけなので、潤滑もそれなりではないかと考えられます。
あとは、定期的にダストシールを外して、リップの隙間に入った砂などの汚れを綺麗にすることで、オイルシールの寿命は格段に上がります。
また、倒立の場合はインナーチューブが地面に近いことで、巻き上げた石などで傷が付くリスクが高いことも、正立よりもフルードが漏れやすいと言われる所以かも知れません。
その場合、適切な洗車方法を取っているかがポイントになりますし、要するにマシンの問題ではなくライダーに起因することの割合が高いのが倒立なのだと私は考えています。
by tm144en
| 2014-09-06 04:49
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