2014年 08月 19日

【DB7】ベアリング発熱実験

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ベアリングのお勉強をしている最中ではありますが、ちょっと気になったことがあったので、実験してみることにしました。
それは、ベアリングが『発熱する』という点。いや、高速で回転しているのだから発熱して然りであり、それを疑っている訳ではないのですが、今まであまり意識した事がなかったので今回計測してみることにしました。

それともう一つ。

内部すきまが、CNとC3とでは、発生する熱量もすきまの狭いC3の方が大きいことになりますが、その差も調べてみたいと思います。

果たして、うまくいくでしょうか?


ーーーーさて、一口に『計測』といっても、事はそう簡単にいきません。
というのも、ベアリングのハウジングに対する『しまりばめ』も出来るだけ再現したいし、出来れば『破損』するレベルが一番知りたいので、どのような方法をとるか、という部分で結構悩みました。
お金と時間の制約も大きな足かせです。

しまりばめの再現は、ベアリングの外輪と内輪をアキシャル方向にズラす方法でやろうと考えています。
例えば、ボルトで締め付ける方法を取る事が出来れば、ネジピッチからボルトの締め付けの回転量で何ミリズラしたかがおおよそ見当がつくハズです。

回転体はボール盤を使用します。要するに、ベアリングの内輪を何らかの方法でボール盤で回し、外輪は固定すれば良いのですが、しかしそれには一つ問題が。
それは、ボール盤に必要以上の負荷が掛かってはいけないということ。
例えば、アキシャル加重をボール盤で押し付ける力を利用すると、それは同時に、ボール盤の軸に付いているベアリングにもアキシャル加重が掛かってしまいます。
ボール盤はあくまで『回転方向』のみの仕事に徹してもらわなければならないので、アキシャル加重は、ベアリング単体で完結してもらう必要があるのです。

ホーマック程度で入手できるアイテムで、今回の実験を成功させようということ事態やや無理があるような気もしますが、色々頭を悩ませ、

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これらのアイテムを入手してきました。

アキシャル加重は2個のベアリングを使用する事にしました。出来れば単体で行いたかったのですが、作用反作用がある以上、どうしても私の頭では思いつきませんでした。

2個のベアリングを使用するのであれば、お互いに引っ張り合う状態で固定すれば、力は打ち消されるので、ボール盤への負荷は回転力のみに出来ます。
写真のアイテムは、その為の物です。

内輪を回転させる為、外輪を固定する必要があるので、

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これで、外輪に丁度良さそうなカラー『風』な物を作ります。

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当たり具合は良い感じ。
精度とか、そういうのは言わないの!w

回転させる為の軸は、

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内輪ジャストサイズのワッシャーで挟み込んで、ボルトで締め込みます。ボルトの締め込み量でアキシャル加重を調節し、そのまま回転軸としても機能します。

私の頭では、この程度の事しか思いつきませんでしたが、しかし実際にやってみると、なかなか思った様にはいかないもので。
まず、軸のボルトは内輪同士を引き寄せる力で締め込んでますが、かなりキツく締め込まないと、簡単にズレてしまいます。アキシャル加重の微細な変更とかしたかったのですが、どうやら無理そう(苦笑)

そして次に、軸の中心が中々出せないという点。ボルトとワッシャーとベアリング2個の、4つのパーツを目印無しに中心を合わせるのは、はっきり言って不可能に近い。

それでもなんとかなりそうなレベルで、

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ここまで漕ぎ着けました。
中心軸は出せてないので、ハウジングを何かで固定してしまうことが出来ません。その為、回転止めだけを用い、ブレる動きはフリーにしました。

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回転前の温度を計測。

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ボール盤の回転数は、全部で5段階あり、

①毎分600回転→時速75km相当
②毎分900回転→時速113km相当
③毎分1250回転→時速158km相当
④毎分1750回転→時速220km相当
⑤毎分2600回転→時速328km相当

(*タイヤ外径210cmで計算 四捨五入)

と、まるで、ホイールベアリングの専用テスターなんじゃないのかって位の現実的な数値にテンションが上がりました(笑)

まずは、それぞれの回転数で5分間の温度上昇を測ってみようと思います。

、、、、が、アレ?

なんか、温度計がオカシイ?

手で触った感じ、アッチッチーなのに、温度計では36度とか表示してて、なんかうさん臭い。

でも、別の物を計測すると、それなりの温度を表示するので、故障ではなさそう。
対象物が小さいから、レーザーポインターの位置と、実際の赤外線の当たっている位置が違ってるのかもしれません。
それに、ベアリングも、内輪と外輪とでは全然温度が(触った感じ)違いますが、この温度計ではそこまでピンポイントでは計測出来ないのかも知れませんね。たまに50度とか表示する瞬間もあるので、ただの計測ポイントの問題なのでしょうが、「ココ!」というポイントが見いだせず、なんやかんややっていると、だんだん嫌気が指してきてしまいました。

ただ、とりあえず、ベアリングは思った以上にアッチッチーになるなぁと言う事は解りました。
増ちょう剤で手をつないでいるグリースが、回転力によってせん断され液状化していく様子とかは、グリース好きの私にとっては感動ものです。

さて、それではいよいよ時速328キロの世界を再現、、、、

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あれ、駄目だ(汗)
何回やっても、今回の軸精度では、2600回転で破綻してしまいます。
また、これ以上締め込みをキツくすれば、今度はボール盤の力では回す事が出来ません。

結局の所、実験は大失敗に終わったという事と、相成りました(笑)

解った事は『この方法では駄目』ということ。
もっと正確に軸を出せる方法でなければならないし、アキシャル加重でのしまりばめ再現もこの方法では『再現』に程遠い。

ただ、ベアリングは思った以上に熱くなるというのだけは収穫と言っても良いでしょう。
実際は、ハウジングに熱を奪われるので、ベアリング単体がここまで熱くなることはないのかも知れませんが。

そこで、次に行った実験は、内部すきまの違いによる発熱量の違いを計測する為、

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単体、無負荷での回転をさせました。。

比較するのは、CNのSKF製と、純正のSNRで、おそらくC2~3と思われる内部すきまの物です。
内部すきまが狭い方が発熱量が大きいということなので、SNRの方が熱くなると思われますが。。。

写真の方法で、2600回転で5分間回した所、どうもSKFの方が熱い?いや、断然熱い!

これはな〜ぜ〜だ〜???

①使用グリースが違う。SKFは純正のおそらくリチウム。SNRは、チキソグリースに詰め替え。

②実は、SNRもCNで、アタリが出てる分、摩擦が少なく発熱も少ない。

③これこそが、メーカーによる違い。ベアリング精度が違う。

④あ、支えてる手で、ラジアル方向に加重が掛かってたかも知れない。。。




、、、、難しいなぁ〜、実験って。

でも、色々楽しかった♪

by tm144en | 2014-08-19 04:18 | BIMOTA DB7S | Comments(3)
Commented by Babu at 2014-08-19 10:39 x
>CNとC3とでは、発生する熱量もすきまの狭いC3の方が大きい
発熱する球体がレールに接してハウジングに放熱されていると考えると逆の結果になるかも。
Commented by しのぶ at 2014-08-19 20:05 x
昔仕事で使っていた赤外線タイプの放射温度計は測定対象を乱反射防止のために真っ黒く着色スプレーをしていたような…
今は要らないのかな?
Commented by tm144en at 2014-08-20 04:15
Babuさん

ベアリングの本によると、内部隙間が減少すると摩擦が増え温度が上昇するとなっているのですが、それはベアリング単体での話で、ハウジングへの放熱には言及していないので(どこかのページにはあるかもしれませんが)、その可能性もあるかもしれませんね。

しのぶさん

実は、借り物の温度計なので、今度貸し主に聞いてみます。

ベアリングの表面はツルツルピカピカしているので、乱反射してるのかもしれませんね。


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