2010年 12月 02日

ネジの締め付けとグリスの関係

以前から気になっていたことをやりました。

実験です

ネジの締め付けにグリスを使用してますが、

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その種類によって、違いはあるのか?、、、というもの。

写真左から、

べ)ベルレイ
チ)チキソグリース
二)二硫化モリブデン
ス)スレッドコンパウンド

とします。

今回の実験のポイントは、

●締め付け軸力の違い。

●締め付けトルクの違い。

●緩めトルクの違い。

●破断トルクの違い。


といった所を中心に調べてみます。

ただし、締め付け軸力を計測する機械は、164万円するので、残念ながら今回は伸びたボルトの長さでもって判断します。
弾性域において、同じ締め付けトルクで長く伸びた方が、軸力が高いことになります。

で、その方法は、

e0159646_2554363.jpg


まず必要な物を購入。
M6,30mmの長ナットとボルト、及びマイクロメータです。

して、さっそく作業に取りかかる、、、、、前に、

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マイクロメーターの『ゼロ点調整』というのを行います。マイクロメーターはその特性上、『ゼロ』の位置がズレるので、計測の前に必ず位置を合わせなければならないのです。


と、3号士君に教わりました☆

4種類のグリスを使用するので、ボルト類も4種類用意しました。
しかし、そうなると『製品誤差』があるはずなので、まずはそれぞれを計測し、その変化率で比較していく事になります。

まずはそれぞれのグリスに使用する長ナットとボルトを、グリスは付けない状態での、手締め、及び10Nのボルトの長さを計測します。(以下長さの単位はmmとします)
(無)は、終始グリス無しのボルト。

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《手締めの長さ》


べ)34、22

チ)34、20

二)34、23

ス)34、17

無)34、21

やはり製品に誤差がありますね。ホームセンターの安物ボルトですから。。。

で、次に10Nで締め付けて、計測します。

e0159646_3202647.jpg


《10N締め付けによる変化量》

べ)0、03

チ)0、02

二)0、07

ス)0、05

無)0、04

ばらついてますねぇ〜(汗。)0、02〜0、07といったところです。既に、締め付け軸力に差がある状態と言えますね。

で、次に、緩めトルクを見ます。緩める時に必要なトルクなのですが、10Nで締めたといっても、緩めるのに必要な力は10Nに満たないのです。

e0159646_3224095.jpg


ダイヤル式のトルクレンチなので、置き針が緩める側にも動くのです。

《グリス無し、緩めトルク》

べ)7N

チ)7N

二)7、5N

ス)6、5N

無)7N


さて、ここまでが今回の実験の基準となります。いよいよグリスによる変化を見ていきます。

e0159646_330799.jpg


《グリス塗布後の変化量》

べ)0、07(0、04)

チ)0、12(0、1)

二)0、07(0、00)

ス)0、07(0、02)

無)×

手締めからの変化量と、カッコ内はグリス無しの締め込みからの変化量ですが、、、、

おおおぉぉぉ☆
揃った!!!、、、、チキソを除いて。

つまり、あれだけ締め付け軸力に誤差があったものが、グリスを塗る事でしっかり均一に締め込まさるという事を証明したことになりますね!!

チキソグリスを塗ったボルトは、明らかに滑りが違いました。『ヌルヌルヌルッ』と回っていきましたね!つまり、とてつもなく摩擦係数が低くなって、その為締め付けトルクが必要なくなり、結果軸力が上がり、いわゆる『締め過ぎ』の状態になったのでしょう。

二硫化モリブデンは、グリス有り無しに変化がありませんでしたが、これはたまたまと考えて良いでしょう。つまり、グリス無しの締め込みが、『たまたま均一』だった。

素晴らしい結果が出ました!!

では今度は、それぞれの緩めトルクを見ていきましょう。

《グリス塗布後、緩めトルク》

べ)6N(-1N)

チ)5N(-2N)

二)6、5N(-1N)

ス)6、5N(±0N)

おおおお☆☆☆

またまた面白い変化が!!

チキソグリスは予想通り『緩み易い』。
二硫化モリブデンとベルレイはほぼ同じ。

そしてなんと、スレッドコンパウンドにいたっては変化無し!
、、、、ってこれは、計測ミスだろうか!?

最後に、それぞれのボルトを破断させていきます。「プチッ」と言った所まで締め込んでいきます。
まずは破断後のそれぞれの長さを見て行きます。

《破断長変化量》

べ)1、35

チ)2、12

二)1、42

ス)1、44

無)0、54

e0159646_356979.jpg


おおおおぉぉぉ☆

またまた面白い結果が!!!

グリス無しの破断長が極めて短い!つまり、ネジ部の伸びが殆ど無く、首根っこ部分のみに力が掛かっていたという事になるのでしょう。
ネジ部の摩擦力に遮られ、軸力を上げる事が出来なかったのです。つまり、強く締め付けられない。
しかし、摩擦の影響によって、締め付けトルクは上がる。

逆に、チキソグリスはネジ部の伸びがやたら長かったと言えますね。


他の3つはほぼ同じと言っていいでしょう。

そして注目すべきは、破断時の締め付けトルクです。

《破断トルク》

べ)11N

チ)10N

二)12N

ス)11N

無)13N

おおおおぉぉぉぉぉ☆

ナルホドナルホド!

滑りの良過ぎるチキソグリスは、締め付けトルクが10N以上にならず、軸力のみが上がった事になります。

また、グリス無しだと、軸力があまり上がらないで、締め付けトルクだけが上がってますね。

モリブデンの12Nは多分計測ミスだと思うので、このボルトの『弾性域の最大締め付けトルク』は11Nということになります。
11Nから締め込んでいっても、トルクレンチの針は11Nを刺したままです。いわゆる『塑性域』ですね。
そこからさらに締め込むと、「プチッ」という感触と共に、トルクレンチの針は急激に低い数値になります。『破断』ですね。

グリスを塗った場合、締め付けトルクの値を正確に行わないと、塑性域までの幅が『1N』しかないので注意が必要です。

グリスを塗らなければ、締め付けトルクに『3N』の幅があるので、多少の余裕が有ると言えます。


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まとめ

まず、今回の実験は、それぞれの行程を1回ずつしか行ってないので、結果の精度はあまり高いとは言えません。
計測もかなり慎重に見たつもりですが、マイクロメーターはまだしも、トルクレンチの方にはかなりの誤差があると言えます。

そんな中でも、大変興味深い結果は得る事が出来ました。
まず一番は、

チキソグリス以外のグリスなら、ネジの締め付けを均一にする事ができる

というもの。知識としては知っていましたが、実験したことにより、まざまざと見せつけられましたね!

逆に、ボルトにグリスを塗らない状態だと、締め付け軸力にはかなりばらつきが出るというのも確認出来ました。

あと、チキソグリスは

絶対ボルト類には使用してはイケナイ

ですね。

ベルレイ、二硫化モリブデン、スレッドコンパウンドに関しては、殆ど同じと言えるでしょう。つまり、


2000円も出して、スレッドコンパウンドを買う必要は無かった!!


という結論が出てしまいました(涙)

、、、ただ、緩めトルクに変化が無かったのが、計測ミスか、あるいはグリスの性能なのかが定かでは無いので、次回もう一度コレを調べてみる必要がありますね。
そしたら、場合によってはスレッドコンパウンドが一番優れていることにもなりますからね。。。

ただ、二硫化モリブデンが費用対効果では一番優れていますね。300円位ですから。。。
印象としても良かったですし。

あと、トルクレンチはホトホトいい加減な計測器ですね。
人間の『手加減』が主体となる計測器なんて、ただの『目安』にしかならないでしょう。

「計測器はやっぱり高いの!」と思い買いましたが、今日の様な結果を見るとプリセットの安物とかで充分な気がします。

こうなってくると『軸力計』が欲しくなってきますね!!
M5~M12に使用できるヤツを調べて、電話で問い合わせたら

「164万円ですねぇ☆」

と、さらっと言われちゃいましたし(爆)


と言う事で、やはり『実験』って大事ですね!!
今後も、可能な限りやっていこうと思います!!

by tm144en | 2010-12-02 02:54 | Comments(5)
Commented by ST3 at 2010-12-02 08:33 x
たのしそうですね(笑)

破断時の締めつけトルク測定はおもしろいですね。
伸び具合が違うのは興味深いです。
今度は普通のオイル塗布でもやってみてください。

弾性域のボルトの軸力を伸びで判断するのは無理ですよ。
応力測定しか方法はないです。

軸力測定器じゃなくても、応力測定用のひずみ測定ボルトもしくはひずみゲージとひずみ測定器があれば安く計れます。
と言ってもひとそろい40万くらいはするかな。

モリブデンは通常のネジ部には普通は使いません。
スレッドコンパウンドと一緒で熱のかかる所などに使います。
グリスは異種金属間の電蝕防止の意味でも使われるので、サービスマニュアル厳守が一番ですよ。

Commented by tm144en at 2010-12-03 05:11
ボルトの伸びで、軸力は判断出来ませんか(汗)
、、、、と、いうことは、僕はまだ『軸力』というものをちゃんと理解してないことになりますね。

40万ならなんとかな、、、、、らないですね(爆)

>>電蝕防止

ナルホドーーーー!!!!!
それでしたか!!イオン化傾向の『あれ』ですね!『ヒド過ぎる借金!』

スチールのボルトと、アルミの被締結体だと、酸性の雨水なんかがその隙間に進入して、電解してしまう、、、、ってわけですね!!

ナルホドナルホド!!!

目からウロコが一杯落ちてきました(ウロコ)


Commented by うちえむ。 at 2010-12-03 08:48 x
この実験レポート、さすがですね!
ちゃんと対照データも用意して、まとめでシッカリ要約してるし。
結論のスレコン買う必要なしには笑いましたが。

シロウトの自分にも良く分かりました。
ボルトにグリス!?という長年の疑問が解決しました。 感謝!
Commented by ST3 at 2010-12-03 09:35 x
http://www.labnotes.jp/pdf/labnotes_grease.pdf
グリスの基礎知識です。

グリスには導電性あるなしもあるので使う場所と種類は考えないとですね。

それと計測機器はうちにありますよ。
機会があれば一緒に実験やりますか?w
Commented by tm144en at 2010-12-04 04:11
>うえちむさん

そう言って頂けると有り難いですが、いやはや、僕なんかまだまだです、ハイ(汗)

でも、グリスを使用する事で、ボルトの伸び量が「ピシッ!」っと揃ったのにはちょっと感動しました☆

>ST3さん

おっと!エロ本より興味深い読み物ですね(爆)

グリスの勉強も中途半端なままだったんですが、まさかネジの理屈から再度グリスの理屈に戻るとは。。。

計測機器!?マジっすか!?
ちょっとそれは興味深いっす!!


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